アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの実業家モハメド・アラバルもYNAPの株式の3.2%を取得し、ファーフェッチとアラバルでYNAPの株式の過半数を握る。
ファーフェッチは自社の株式5300万~5850万株をリシュモンに譲渡し、取引の完了後、さらに2億5000万ドル(約340億円)相当の株式を引き渡す。
YNAPは単独で過半数の株式を握る株主がいなくなるため、実質的に独立したプラットフォームとして運営されることになる。ただ、ファーフェッチには残りの株式を取得する選択肢もあるため、その状況も長続きはしないかもしれない。
YNAPは取引の一環で、ファーフェッチの技術プラットフォームを導入する。このプラットフォームはすでに多くの高級ブランドの在庫情報とつながっているので、YNAPのサイトでの出品などに「大きな前進」が見込まれるという。
リシュモンも、ファーフェッチの技術プラットフォームを活用して傘下ブランドのオムニチャネル戦略を推進していく方針だ。
リシュモンのヨハン・ルパート会長は今回の取引について、ラグジュアリー業界のための中立的で独立したオンラインプラットフォームを構築するという、自身の夢の実現に向けた「大きな一歩」だとコメント。他社との協力の必要性も当初から認識していたと明かしている。
ファーフェッチは2007年にジョゼ・ネベスによって創業され、翌年に高級ブランドの電子商取引(EC)サイトを立ち上げた。以降、急成長を遂げ、今では1400を超えるブランドや専門店、百貨店の製品を世界190カ国・地域あまりの顧客が購入できるようになっている。
ファーフェッチが5月に発表した2022年度第1四半期決算は、売上高が5億1480万ドル(約704億円)と前年同期比6.1%増えた。とくにデジタルプラットフォームの売上高が9.3%伸びたことが寄与した。
(forbrs.com 原文)