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2022.08.29 10:00

シャンパーニュメゾン初の「B Corp」取得 SDGsの取り組みが加速

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8月29日、仏パリに本社を置くEPIグループは、傘下に持つシャンパーニュメゾンのパイパー・エドシック、シャルル・エドシック及びレア(以下、当該メゾン)がB corporation(Bコーポレーション、以下 B Corp)の認証を取得したと発表した。これにより、当該メゾンは、社会や環境問題へのコミットメントを強化することになる。

B Corpは、米国の非営利団体B Labによる国際認証制度。「B」は「Benefit(利益・公益)」の意味で、社会や環境、従業員、顧客といったすべてのステークホルダーに対する利益を表している。

認証の取得には、社会や環境に関して、多岐にわたる厳しい基準をクリアすることが求められ、これまで84か国の5500を超える企業が取得している。その中にはアウトドア用品のパタゴニア、化粧品のボディショップやイソップなど環境への配慮で知られる企業や、ワイン業界ではカリフォルニアのスポッツウッドやポルトガルのシミントン・ファミリー・エステートなどのワイナリーが含まれる。

当該メゾンCEOのDamien Lafaurie氏は、「先駆者的なB Corpのコミュニティに参加することができ光栄に思います。この認証を取得した最初のシャンパーニュ生産者として、地域全体としても、こうした社会や環境への問題への取組みを考えるきっかけになることを希望しています」と述べている。


当該メゾンCEOのDamien Lafaurie氏

B Corpは、ただ製品やサービスを評価するだけではなく、その企業の継続的な改善によるポジティブな影響を総合的に評価し、自らの利益だけではなく社会・環境に配慮した公益性の高い企業に与えられる。

例えば、当該メゾンは、2030年までにパリ協定に合致するレベルで二酸化炭素排出量を削減し、2050年までにネット・ゼロを達成することを約束。また、2025年までにエネルギー使用を40%削減し、製造過程における化石燃料の使用をゼロにし、100%再生可能電気を使用する計画を表明した。そして、組織としても、どのレベルにおいてもジェンダー平等を確保し、多様なバックグラウンドを持つ従業員の雇用を推進する。

さらに、ワイン造りの要となるブドウ栽培においては、除草剤や殺虫剤の使用をゼロにし、畑での生物多様性を促進する。

シャンパーニュにおいても、近年、サステイナブルなワイン造りの動きが注目されているが、今回の大手シャンパーニュメゾンによるB Corp認証の取得は、その追い風となるだろう。

島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い〜グローバル・ワイン講座」
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文=島悠里 写真=EPIグループ提供

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