他の地球型惑星ではこのようなサイクルがどう展開されるのか?
傾きが大きい惑星では赤道付近を覆う氷帯が形成され、傾きの小さい惑星では極地に氷冠がつくられるとフェルフールトはいう。この結果、厳しい長期的気候変動サイクルが生まれる。惑星は「雪玉状態」と「無氷状態」を行き来しているという説も提唱されているという。
私たちの太陽系において、木星は地球の軌道がほぼ真円とやや楕円形の間で変化するように影響を与えているとフェルフールトはいう。気候においては離心率が重要な役割を果たしている。離心率の大きい軌道の惑星は、真円軌道の惑星と比べてより大きい恒星エネルギーを毎年受け取るからだ。たとえば、地球では離心率の変化が、およそ10万年ごとに到来・終結した氷河期と関連していると彼女は指摘する。
氷河期の到来と終結は、地球の軸の傾き(赤道傾斜角)と地球の向きの変化(歳差運動)がなければ起きなかったとフェルフールトはいう。赤道傾斜角と歳差運動はそれぞれの緯度がどれだけ季節変化を経験するかを決定する。地球は北極の夏の日射が極氷冠を融かすのに十分な量を超えたときに氷河期を脱する。これは地球の軌道がより楕円になり、太陽と最接近した時に北極が太陽に向いて傾いたときに起きる、と彼女は指摘する。
赤道傾斜角は居住性の方程式の知られざる要因なのか?
現在の観測技術では、既知の太陽系外惑星の赤道傾斜角を特定することはできない。しかし、数億年にわたって傾斜が極端に変化している太陽系外惑星から生命が出現する可能性を排除できないと彼女はいう。傾斜の大きい惑星においても、適した条件のホットスポットから生命が生まれるかもしれないと指摘する。
太陽系に巨大なガス状惑星が存在するからこそのこと
「太陽系外の地球型惑星の近くに巨大な惑星があることは諸刃の剣です」とケインは言った。
巨大惑星は外惑星を襲って絶滅レベルの事象を起こす可能性のある衝撃を吸収することができるとケインはいう。しかし、巨大惑星がその外惑星の軌道を変化させ、惑星表面の居住可能性を減少させる劇的な気候変化を起こす可能性もあるという。