日本では、焼酎は日本酒より多く飲まれている酒だ。2020年に消費されたアルコール飲料に占める焼酎の割合は、金額ベースで15.4%。一方、日本酒は4%だった。ただ、輸出量となると、日本酒が焼酎を大幅に上回る。
日本酒は世界的に人気の高い酒となっており、2021年の輸出額は約2億9500万ドル(約397億円)。過去最高を記録した。焼酎の輸出額は、およそ1300万ドルだ。焼酎が輸出量で日本酒に大きく差を付けられているのは、なぜだろうか?
その大きな理由の一つが、ニューヨークの州法だ。焼酎にとって大きな潜在市場である同州で酒類を販売するには、アルコール飲料管理法(ABC法)で定められる「ソフトリカー」または「ハードリカー」としての販売免許を取得する必要がある。
ソフトリカーに分類されるのは、ワイン、ビール、日本酒など。アルコール度数の高いジンやウォッカなどの蒸留酒は、ハードリカーとされる。ハードリカーの取扱免許の取得にかかる費用は、ソフトリカーの2〜3倍。取得自体も、より困難だ。
だが、そのABC法が7月1日、改正された。現在はアルコール度数が24%以下であれば、ソフトリカーの免許で焼酎を販売することができる。日本酒造組合中央会(JSS)・日本の酒情報館の今田周三館長は、日本で販売されている焼酎の約8割はアルコール度数が25%だが、「ニューヨーク市場への輸出に向け、1%の引き下げを実現する焼酎が増えるだろう」と述べている。
「韓国焼酎」の影響も
一方、米国で焼酎があまり知られていない理由には、カリフォルニア州の規制の影響もある。韓国のロビイストは1998年、州当局との交渉の結果、「韓国焼酎」とも呼ばれる蒸留酒の「ソジュ」を、ソフトリカーの免許で販売することを可能にした(ハードリカーとしての分類から除外することが認められた)。
韓国側はソジュについて、「普段の食事の一部であり、ハードリカーとして法律上の規制を受けるべきものではない」と主張した。そして、このときカリフォルニア州は、焼酎を基本的にソジュと同じものと判断。そのため同州では焼酎も、ハードリカーの販売免許がなくても取り扱い可能となっている。