日本はなぜ「エシカル後進国」なのか


1番の問題は日本の貧困




ここまで、日本がエシカル後進国である理由として「当事者意識を持つのが難しいから」「SDGsに否定的な人が多いから」を挙げたが、1番の問題は貧困問題だと考えている。

「先進国なのに貧困?」と思われるかもしれないが、日本は収入格差が問題視されており、相対的な貧困と呼ばれる状況で6人に1人の子どもたちが苦しい生活を強いられている。

さらにここ数十年、賃金が停滞し続けており、安いものしか売れない状態になってしまっているのだ。

環境と経済のバランスが大切


エシカル消費を広めるために大切なのは、環境と経済のバランスを意識すること。

環境保全と経済発展のどちらかしか実現できないと考えている人も多いが、SDGsの8番は「働きがいも経済成長も」であり、両立する必要がある。

例えば、気候変動の対策で再生可能エネルギーを普及させ、電気代が上がると、貧困家庭の生活はより苦しくなってしまう。

未来のことを考える余裕がある人を増やすために、世界から貧困をなくさなければならない。

ドーナツ経済学を取り入れよう




現在の経済学では、自己利益を合理的に計算して最大化しようと選択・行動する「合理的経済人」をモデルにしてきた。

このような人間像に基づく経済学によってグローバル経済が作られてきたため、競争や利己主義が重視され、協力や利他主義は軽視される世の中になっているのだ。

これからは、GDPに代わる新たな指標として、経済成長だけを追求せず、バランスのとれた繁栄を目指す「ドーナツ経済学」を取り入れていく必要がある。

人間が社会的動物であること、お金がすべてではなく、多様な価値観が存在することを考慮し、人間味あふれる経済の実現に取り組んでいくべきなのだ。

バランスのよいエシカルライフを


私たちにできるのは、余裕のある範囲で、大量生産・大量消費されている安い商品ではなく、人や動物、環境に配慮されたエシカル商品を選ぶようにすること。

大前提として、すべての企業がマーケティングによるブラックボックスをとっぱらい、商品の透明性を担保して消費者側が自分の意思で社会課題に加担しない選択ができる社会の実現が必要である。

まだまだ数は多くないが、少しずつモノづくりにおける透明性を追求する企業も増えてきているので、次のお買い物の時に意識的に探してみることをおすすめする。

消費者の小さな選択が束となることで、企業の在り方を大きく変えるインパクトを生み出すことができる。

金銭的・精神的に厳しい場合は無理をせず、社会問題について学んだりSNSで発信したりすることでもサステナブルな社会の実現に貢献できる。

無理なく楽しく、自分のペースで取り組んでいくことが大切だ。ポジティブなマインドによる、笑顔になれる行動としてエシカルアクションが広がっていく未来を願う。

【参考文献】
・消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/ethical/investigation/assets/consumer_education_cms202_210323_02.pdf


※この記事は、2022年4月にリリースされた「エシカルな暮らし」からの転載です。

文=エシカルな暮らし編集部

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