経済・社会

2022.07.30 13:00

数字で見る世界の半導体生産 輸出額の半分は中華圏

Mc_Cloud / Shutterstock.com

米議会上院は27日、国内の半導体産業を支援する超党派法案(通称「チップス+法案」)を賛成多数で可決した。法案は下院でも可決されて成立する見通しだ。中国との対決をめぐる懸念が高まるなか、1年にわたって続けられてきた与野党協議がようやく実を結ぶことになった。

法案は米国の半導体産業の競争力を高め、中国や台湾など中華圏(グレーターチャイナ)への半導体依存や世界的な半導体不足の緩和をめざすもの。ヤフーニュースによると、予算額はまだ計算中だが向こう10年で約790億ドル(約10兆7000億円)にのぼるとみられている。うち500億ドルは米国の半導体メーカーによる設備拡大や研究開発に直接充てられる方向だ。

半導体生産は現在、中華圏が優位にあり、世界全体の輸出額の半分を占める。国連の統計によると、完全なデータが入手できる最新の年である2020年の中華圏の半導体輸出額は4000億ドル近くに達する。内訳は香港が1539億ドル、台湾が1231億ドル、中国本土が1170億ドルだ。

これに対して、米国の輸出額は442億ドルと世界7位にとどまる。上位はこのほかシンガポール(862億ドル)、韓国(829億ドル)、マレーシア(493億ドル)、日本(289億ドル)などとなっている。

1990年まで、米国は世界の半導体の4割近くを生産し、やはり4割ほどを欧州諸国が生産していた。その後、より安価に生産できる設備をもつアジア諸国が台頭。勢力図は急速に塗り替えられ、2000年には米欧のシェアが合わせて4割強に縮む一方、残りの大部分を日本と韓国、台湾が占めた。

中国本土は2010年までにすでにわずかなシェアを獲得していたが、2020年には約15%に広げた。さらに2030年には、米国や欧州、アジアの競合勢からシェアを奪うかたちで25%までシェアを拡大すると予想されている。

新型コロナ禍の間、サプライチェーン(供給網)の混乱によって半導体が不足したことから、一部の国は半導体の国内生産の強化に乗り出した。米国に先だって日本や欧州がそうした措置を打ち出している。

ただ、中国本土の半導体生産の成長スピードは速く、追いつくのは容易ではなさそうだ。

編集=江戸伸禎

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