不安を抱えた人がみる夢の特徴 メンタルヘルスの新しい研究結果

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Dreamingに掲載された新しい研究では、不安障害を持つ人々の夢が分析されている。この研究は、人が頻繁にみる厄介な夢は、適切なケアを受けなければ、昼の生活をも悪夢に変えてしまう可能性があることを示唆している。

ドイツのデュッセルドルフ大学の心理学者で論文の筆頭著者であるアントン・リムシュは「今回の研究の結果、不安症患者の夢の内容は健康な人の夢の内容とは大きく異なり、よりネガティブで不快な要素を含んでいることが明らかになりました」と語る。

リムシュの研究は、38人の不安症患者の夢の内容を、夢日記、アンケート、1対1の夢分析を通じて追跡調査した。

その結果、いくつかの夢のトピックが、健常者と比較した場合に不安症患者ではより多く見られることがわかった。そうしたトピックは以下のとおりだ。

1. つきまとわれたり、追いかけられたりする
2. 物理的に攻撃されたり、攻撃的な行為に遭遇したり
3. 恐怖で身がすくむ
4. けんかや言葉による攻撃的なやりとり
5. 他者からの攻撃的行動に対する不安および恐怖
6. 落下の恐れ、もしくは落下の危険への直面
7. 社会的な場面での排除や拒絶
8. 両親や家族の死
9. 自動車事故、航空機の墜落
10. 失敗に直面し、不成功に終わる

こうした繰り返し起こるイメージや出来事とは別に、参加者の夢の多くに共通して見られる以下のような特徴があった。

昔の恋人。また、不安症患者の夢には、健常者に比べて、元パートナーや元配偶者がより多く登場した

高速移動。また、不安症患者の夢には、一般的に目まぐるしい高速感が観察された、このため速く動く人物、物体、交通機関や乗り物がよく登場している

感情の激しい起伏。不安障害の存在は、夢体験や夢のイメージの主観的な受け取り方を全体的に激しくしがちだ。不安症患者の夢の内容は、ただ数多く存在するだけでなく、特に主観的に強調されたかたちで体験される
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翻訳=酒匂寛

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