コロナ再感染で死亡や血栓のリスク倍増 あらためて求められる基本的な予防策徹底

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最近発表された査読前の論文によると、新型コロナウイルスに2回以上感染すると死亡や血栓、肺の損傷などのリスクが2倍になることがわかった。再感染はまさしく「明白で現に存在する危険」であり、長引く後遺症を避けるためにも今すぐ予防策を徹底すべきだ。

「BA.4」や「BA.5」などオミクロン株の新たな系統は、人間の自然免疫を回避しやすくなっている。米国では7月初め時点で全感染者の54%をBA.5、17%をBA.4が占めており、「BA.1」や「BA.2」の感染歴がある人も再感染する可能性が高くなっている。

この研究では、新型コロナウイルスの再感染がもたらす健康リスクを調べるため、米退役軍人省のデータベースにある560万人超の健康記録を解析した。再感染による健康リスクはこれまであまり研究が進んでおらず、その特徴を明らかにすることを目的とした研究はこれが初めてだ。

解析結果によると、新型コロナウイルスの2回以上の感染記録がある人は、最後の感染から半年以内の死亡率が2倍超、入院率は3倍にのぼっていた。また、肺や心臓の疾患(心血管障害や凝固障害など)、倦怠感、消化器や腎臓の疾患、糖尿病、筋骨格系障害、精神障害、神経系障害のリスクも高くなっていた。

これらのリスクの高まりは再感染の急性期に顕著にみられたが、大半は再感染から半年後にも認められたという。

米国を含む多くの国は現在、新型コロナ対策の規制を緩和もしくは撤廃しており、ワクチンの接種を進めることで死亡や入院のリスクを引き下げるという道を選んでいる。だが、感染者の増加という現状に加え、新たに得られたこの気がかりなデータも踏まえると、ワクチン接種や抗ウイルス薬といった医学的介入だけに頼るのは賢明ではない。

ロックダウンやソーシャルディスタンスといった措置はもうほとんど必要とされていないかもしれないが、感染や健康被害を減らすためにはなおさまざまな手を尽くすことができる。N95マスクの全国民への無償配布や、マスク着用義務の再導入、学校や職場での適切な換気、無料のPCR検査などはほんの一例だ。

感染を減らすことは、ウイルスの進化を遅らせて、より致死率や免疫回避力の高い変異株の出現を防ぐ唯一の方法でもある。再感染を防ぎ、長期的な健康被害が広がらないようにするために、今こそ行動を起こすべきだ。

編集=江戸伸禎

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