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2022.07.31

ニューヨークの果樹園、「大麻ビジネス」が存続の切り札に?

Dmytro Tyshchenko / Shutterstock.com

リンゴ栽培で生計を立てるのは、並大抵のことではない。世界規模の競争により、価格は1ポンド(約0.45kg)あたり25セントまで下落した。加えて、予測困難な病害虫や悪天候、さらには労働力不足により、深刻な打撃を被る可能性もある。

そこで、ニューヨーク州シラキュース近郊にある「ビーク・アンド・スキッフ果樹園(Beak and Skiff Orchards)」を経営するエディー・ブレナンは、1エーカー(約4000平方メートル)の大麻栽培許可を州に申請した。大麻は、1ポンドあたり500ドルになる。リンゴ売上の2000倍だ。

家族経営事業を多角化し、秋の収穫シーズン以外の収入を確保するため、ブレナンの果樹園は、リンゴ狩りや夏のコンサートを実施し、ハードサイダー(リンゴ酒)蒸留所や味見コーナーも設置してきた。大麻こそが、難局を切り抜け、家族経営の農場を第6世代に引き継ぐための切り札かもしれない、とブレナンは言う。

ビーク・アンド・スキッフ果樹園は1911年に設立された。現在は創業者の玄孫たちが経営し、30万本の木々を育て収穫をおこなっている。同社は、ハードサイダー製造のノウハウを活かし、THC(テトラヒドロカンナビノール、大麻の向精神作用をもたらす成分のひとつ)含有ドリンクの製造に特化した約1400平方メートルの飲料工場を建設した。

大麻栽培は、急成長中のビジネスだ。2022年のMJBizz Factbookによれば、米国内の大麻の小売売上は、2022年中に330億ドルを突破する見込みだ。

ニューヨーク州で早期にビジネスに参入することで、合法大麻業界における「先行者の優位」を獲得できるはずだ、とブレナンは言う。

草創期にあるTHC飲料業界


投資会社メリダキャピタル・ホールディングス(Merida Capital Holdings)の共同創業者兼マネージングディレクターを務めるミッチ・バルショウィッツは、ブレナンの会社について、大麻飲料事業で「追い風と向かい風」の両方を経験するだろうと予測する。このジャンルには「成功のためのモデルがある」と、彼は指摘する。「人々はすでにこうしたドリンクを、社交的な潤滑剤として利用しているからだ」。

加えて、飲料には、大麻の一般的な服用法である喫煙に比べてアドバンテージがあるという。「ドリンクは服用量が正確にわかる」ため、消費者は、マリファナの向精神成分であるTHCをどれだけ摂取したかを正確に把握できるのだ。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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