ビジネス

2022.07.17 07:00

パンデミック明けには、大きな革新が連続するルネサンスが訪れる


歴史的に見れば、ペストの流行は恐ろしいものに思えたが、そんなときでも希望の兆しはあった。マクレランによればペストの流行は、ある社会的な条件の誕生を助けた。パンデミック後の再生としては、これまでで最も大きな規模での再生、つまり、「グレート・ルネサンス」に必要不可欠と言える条件だ。

「優先順位が変化し、新たなビジネスモデルが誕生した」とマクレランは続ける。「必要に迫られたことで、まったく新たなレベルの革新性と創造性が生じたのだ」

中世ルネサンスは、芸術や音楽、建築が復興したことで知られている、とマクレランは指摘した。ミケランジェロの手によるバチカン市国システィーナ礼拝堂の天井画や、荘厳な「ダビデ像」、ヨハネス・グーテンベルグが発明した活版印刷技術、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた油彩画「モナ・リザ」などがよく知られている。

「しかし、中世ルネサンスはまた、私たちが暮らしている現代社会の骨組みそのものが築かれた時でもある。つまり、資本主義の基礎が築かれたのだ」とマクレランは指摘する。「ペストの流行とともに封建主義が衰え、代わりに個人が富を築くようになった。商人や商業、銀行業、不動産投資、科学の発展によって人類は前進し、企業が栄えるための土台が成長し始めた」

中世ルネサンスは、再発明を迫られたときだった。新しいことに挑戦し、かつてないことに取り組むことを余儀なくされた。そうした状況に、覚えはないだろうか。

危機が触媒となり、創造性が発揮され、劇的な変化が生まれ、新しく持続的なイノベーションが数多く誕生したのだ。

「第2次世界大戦が終わった後も、私たちは再生を経験した」と、マクレランは指摘する。賃金は、終戦の5年前と比べると50%も上昇し、失業者はほぼ皆無となった。船を1隻建造するのにかかる時間は、以前は365日間が必要だったとすると、1週間未満で作ることが可能なほど、大幅に短縮された。インフルエンザのワクチンや、世界初の現代型コンピューターが開発された。

マクレランは、2003年に初著書『99.3 Random Acts of Marketing(99.3計画的ではないマーケティング)』(未邦訳)を出版したほか、2020年にはスティーブン・ウォスナーとの共著『Sell with Authority(権威ある営業術)』も出版された。

マクレランは、ビルド・ア・ベター・エージェンシー・サミットのモットーとして、「We grow faster and learn better when we learn together.(共に学べば、より速く、より良く成長できる)」を掲げている。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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