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2022.07.09 08:00

新型コロナワクチンが9カ月間で米23万人超の死を防ぐ

Getty Images

新型コロナウイルスのワクチン接種が始まってからの9カ月間で、米国の成人約2700万人の感染、160万人の入院、23万5000人の死亡を防いだことが、このほど発表された研究で明らかになった。

米医学雑誌JAMAのオープンアクセスジャーナル「JAMA Network Open」で紹介されたこの研究はモデルナ、ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンが、2020年12月から2021年9月にかけてワクチン接種が行わなければ発生したであろう新型コロナによる死亡の58%を防いだとしている。

研究者らは、数理モデルとワクチン効果の数値を用いて新型コロナの感染、死亡、入院の件数を推定し、年齢層ごとにデータを整理して検査の確率といった要素をかけ合わせた。

ワクチンによって予防された入院と死亡の大半は50歳以上の成人で、予防された2670万件の感染のほとんどは高齢者よりも重症化するリスクが低い傾向にある50歳未満の成人だという。

この研究の著者には疫学者や生物統計学の専門家がおり、新型コロナ対策におけるワクチンの重要性を強調している。

研究者グループはコメント欄で、全国的なデータベースがないため研究結果は健康記録からの「不完全な全国データ」に依存していると注意を促し、ワクチンの効果を測定する方法には現在「限界」があるとした。

「全国的なワクチン接種キャンペーンによって救われた正確な人数を知ることはできそうにないが、ワクチン接種が重症化や死亡を防ぐための最も強力な手段であることはわかっている」と感染症の専門家は解説で述べた。

世界で展開されている新型コロナワクチン接種キャンペーンは史上最大規模で、184カ国で121億回分超が配布された。米疾病対策予防センター(CDC)によると、人口の66.9%に当たる約2億2230万人の米国人がワクチンを完全接種し、その中には65歳以上の成人の91.5%も含まれている。

他の研究でもワクチンが新型コロナの死者数を大幅に減らすことが示唆されている。ある研究では、新型コロナワクチンが導入された最初の年に、世界中で約2000万人の命を救ったことが明らかにされ、別の研究では、「タイムリー」なワクチン接種により24万人近くの新型コロナによる死亡を防ぐことができたとしている。

米カイザー・ファミリー財団が行った調査では、ワクチン未接種の成人が新型コロナで死亡した人の大半を占め、その割合は2月には60%に達した。

CDCによると、米国ではこれまでに新型コロナで101万人が死亡した。

翻訳=溝口慈子

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