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2022.07.10 11:30

世界で認知症が増加傾向に 食い止める方法は?


研究からは、年を重ねた際の認知症発現のリスクを健康的な生活様式により減らせることも示されている一方で、全ての種類の認知症を防止する確実な方法は存在しない。

新型コロナウイルス感染症の長期的な後遺症やその他の病気が示してきたように、家族で発症した人がいないような病気を発症しないとは確実に言い切れない。健康をギャンブルのように扱う人ではなく、健康志向の人が病気を診断される理解不能な状況も時に存在する。

しかし、人体は複雑で、医学はその進歩にもかかわらずいまだに社会的な影響を無視している。例えば、ストレスは認知症の発現において重要な役割を果たすことで知られる免疫系に影響を与えている。

当然のことながら、健康を達成する鍵は、医療を受ける機会以上に地理的な位置や教育水準、収入、民族性、仕事、コミュニティー内の社会的つながりに依存している。こうした要因はまとめて、健康の社会的決定要因(SDoH)として知られ、世界保健機関(WHO)は健康の社会的決定要因を「人々が生まれ、成長し、生活し、働き、老いる条件」と説明している。

私たちは今こそ、認知症を健康の社会的決定要因と公衆衛生の視点から考えるべきだ。

健康の社会的決定要因と生活の質との間に正の相関関係があることは、これまで複数の調査から示されてきた。そのため医師らは、体の健康のみに焦点を当てるのではなく、個人に焦点を当てた統合的な手法を採用する必要がある。健康の社会的決定要因に焦点を当てることで、病気を防いだり反転したりでき、長期的にはコスト削減が見込める。

認知症に効果的に対処するにはあらゆる面での協調が必要だが、科学や医療面でのコミュニケーションの重要性や認知症研究への投資を過小評価することはできない。

認知症の兆候に対する認識を高め、より早期の診断に向けたステップをよりうまく伝えることを優先事項としなければならない。収入が低・中程度の国は今こそ、教育や健康的な生活様式の優先など、将来の認知症のリスク要因を減らせる政策を導入すべきだ。

世界的には男性よりも女性の方が認知症の数が多いことから、認知症研究では性・ジェンダーの差に焦点を当てることができる。世界中の認知症・アルツハイマー病の研究、特に脳の機能に関する研究にはさらなる資金提供も必要だ。

アルツハイマー病は生命を脅かす病気の中で最も恐れられていて、認知症の最も一般的な種類だ。現在の高齢者や将来高齢者になる人の生活の質を改善したければ、認知症に関する議論を行動やアイデア、強みに焦点を当てるよう見直さなければならない。

翻訳・編集=出田静

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