ボルヌ首相が同日、政府が「EDFの資本を100%保有する」計画を議会で表明。これにより政府が同社を完全に支配し、利益が減少する中での投資家への還元を回避できる。
ボルヌ首相は「戦争の結果」がもたらす「前途に待ち受ける大きな試練」が今回の決断につながったと説明した。
フランス政府はすでに同社の株式の84%を保有している。他の一部のフランス大企業も部分的に国営化されていて、ここには政府が15%の株式を保有する自動車メーカーのルノーなどなどが含まれる。
発表を受けてEDFの株価は14.5%上昇した。投資家は政府が残りの株式に対してプレミアムを支払うことを期待しているようだ。
フォーブスが5月に発表した企業の資産、市場価値、利益、売上高から算出した世界の上場大企業2000社のランキングによると、EDFはフランスで第6位、世界で第119位だ。
EDFはこのところ財政面で苦戦している。EDFが請求できる価格にフランス政府が上限を設け、85億ドル(約1兆1550億円)の損失計上を余儀なくされたことが悪化要因となっている。
EDFの国有化は、欧州連合(EU)がロシア産エネルギーの部分禁止の影響を受けている中でのものだ。ロシアはEUにとってエネルギー製品の最大の供給国で、2021年のEUの原油輸入の62%、天然ガス輸入の25%を占めている。
ロシアのエネルギー企業もウクライナ侵略の余波を受けて苦戦している。ロシア政府が過半数株を持ち、そしてロシア最大の上場企業である天然ガス・石油大手のガスプロムは6月30日、欧州からの経済的孤立でロシアの経済状況が悪化していることを理由に1998年以来の無配になると発表。ガスプロム株は配当発表当日に29.8%下落し、その後さらに6.5%下落した。