髄膜炎菌感染症の症状の現れ方は、2通りある。一つは髄膜炎で、頭痛や首の凝り、吐き気、光線過敏症などが典型的な症状。もう一つは髄膜炎菌が原因の血流感染症(敗血症)で、劇症型の場合は数時間でショック死する場合もある。紫がかった発疹が現れれば、敗血症性ショックの恐れがあると考えられる。
髄膜炎菌感染症による死を防ぐにために重要なのは、早期に治療を受けることだ。だが、診断が遅れる原因となり得る問題の一つが、初期症状がインフルエンザに感染した場合と似ていることだ。
また、髄膜炎菌にはいくつかの株があることが分かっている。現在フロリダ州に居住、または滞在したことによって感染した人たちは、「血清群C群」の髄膜炎菌に感染している。感染者はいずれもゲイ、またはバイセクシャルの男性で、およそ半数がヒスパニック系だ。
一方、同州タラハシーでは5月に、大学生の間で髄膜炎菌感染症が流行。このときには、「血清群B群」への感染が広がった。髄膜炎菌は、分泌物によって感染が広がる。つまり、同じグラスやボトルで何か飲んだり、キスしたりすることで、感染する。高校生や大学生に特に感染が多いのは、このためだ。
これは、親がこの年齢の子たちに、「回し飲みをしてはいけない」と教える必要があるとことを示している。そしてまた、多くの大学が学生に髄膜炎菌のワクチン接種を義務付けている理由でもある。
髄膜炎菌感染症の治療には、一般的には抗菌薬(抗生物質)のセフトリアキソン、またはペニシリンが使用される。ただ、まれではあるものの、髄膜炎菌がこれらに耐性を持つ場合もある。致命率は10〜15%とされるが、流行時には高まる傾向がある。また、回復した患者の最大20%には、神経学的な異常が長期的に残るとされている。