「従業員に求めることは、スキルの高さではなく、仕事に向き合うスタンス。言うまでもなく、企業活動は部門や組織の壁を超えた共同作業によって成り立っていて、それらがつながってはじめて仕事は価値を生みます」
思いやりを持った行動が、そのつながりをより強固に、より円滑にする。だからと従業員全員が「楽しい」と思える環境をつくることを目指している。
「そのような環境を提供することで、従業員たちもお客さまの目線に立ち、お客さまの満足につながる行動をしてくれると信じています。このスタンスを楽しいと思える仲間とともに、私も成長していきたいです」
こうした長谷川氏の経営スタンスは、この先どのような結果を生むのだろうか?
必要なのは「クラッシュリスト」?
冒頭で紹介した「膠着した会議」の企業は、完全に「守り」だった。結果を見ても、対前年比で売上は下がり、為替差益でのダメージも大きい。
それだけではない。「待っているだけ」の姿勢なのだ。「どうせ上が決めるから」という雰囲気で、会議の参加者が自分で自分を押し殺していた。
ちょっとした決済にも取締役会の承認が必要だというこの企業は、従業員が自分の意思を持つことができない。そんなことならば、いっそ何かを壊してしまったほうがいいのかもしれないーー。
そして筆者自身にも、壊したほうがいい考え方や習慣が、山のようにある気がしてならない。まずは「クラッシュリスト」をつくろうと思う。
この瞬間からどんどん物事を壊してゆく。疑ってゆく。それが何よりも大切だと感じるのは間違いだろうか?