1.集合研修は基本的に廃止!
まず、旧経営陣がやっていた研修を廃止した。
「内発的動機があるメンバーを集め、会社は社員が自分で成長できるように支援する、そのために必要な研修の機会は用意する。これが今後の研修の考え方です」
新経営陣は、こう宣言した。というのも、会社が用意した研修は、ある意味「成長曲線」を強制されるもの。それでは個々人にフィットしない場合もあるし、方向性が間違っている可能性もある。そこで、社員一人ひとりが考え、自分たちの望む方向性で目標を設定する方法に変更した。
そう、「自分の意思で成長できる組織」に変更したのだ。経営陣が成長を共用するのではなく、“自分の意志”で自主的に行動できる企業だ。
2.挨拶の仕方を強要しない
その会社独自の共通言語をつかったり、無理やり挨拶の仕方を決めたりしている企業は意外と多い。そんなのは無意味だと筆者は思うのだが・・・。
メビウス製薬も例外ではなかった。「お疲れ様です」という言葉の代わりに、「お愉しみ様です」という言葉を使っていたという。愉しんで仕事をしよう!という想いを込めて。
これには、西村氏だけではなく、以前から、多くの社員が違和感を感じていたという。西村氏も、愉しんで仕事をしよう!という考え方には大賛成。だが、愉しんでたって疲れる時は疲れる。
そこで、挨拶の仕方という「やり方」を強制される組織から、共感や協調があり社員が活き活きできる、という「あり方」にこだわる組織に変更。今では多くの人が「お疲れさまです」と口にするという。
3.朝礼でのスローガン唱和を廃止
「メビウスでは、毎朝、朝礼を行っていました。VB(メビウスの価値観をまとめたもの)の読み合わせや、スローガンの唱和をしていたのです」(長谷川氏)
西村氏が、朝礼に初めて参加して思ったことは、「惰性だなぁ」だったという。毎朝、価値観の共有を強制されている。ありたい姿には共感しているが、毎朝となると洗脳と感じてしまう。「宗教」と感じる社員もいた。
「本当に大切な価値観を共有するためには、浸透方法は重要ではない。経営・マネジメントの一貫性が大切だ」と強調する。
そこで、毎日の朝礼は廃止し、週1回、本当に必要な情報共有の場を設けることにした。価値観を浸透させるために何かを強制・制限する組織を壊し、従業員に発言や行動を「制限されている」と感じさせない組織に変更したのだ。
つまり、新経営陣が目指したのは、経営が主役の組織から社員が主役の組織への変更であった。