ビジネス

2022.06.27 17:00

成長する企業は、何を壊すのか?

膠着する会議。いっそ何かを壊してしまったほうがいい?/ GettyImages


長谷川氏の「常識を壊す」経営スタンスとは?


メビウス製薬新社長の長谷川氏に話を聞くと、インスタイルグループの「守るよりも壊していく」というカルチャーこそが、同グループの成長につながっているのだということがわかってきた。それは、彼の言葉の節々から伝わってくる。
-->
advertisement

以下に、インタビュー形式で紹介しよう。


長谷川貴一氏は、広島県生まれの34歳で、西村氏がコンサルティングや投資を行ってきた「エックスモバイル」で組織改変や事業運営を経験。その後、インスタイルグループでカスタマーサポート・コールセンター業務も担当した。

Q 西村氏からメビウス製薬の社長に任命されたとき、何を思いましたか?
advertisement

「数年前に、西村から『(自分で)社長になる事は誰でもできる事だが、(誰かに)社長を任せられる事は誰にでもできる事ではない』と言われた事があります。ですので、素直に嬉しく思いましたし、実際にメビウスの状況を把握していく中で、私の目から見ても“私にできる事”が多いなと感じました」

Q M&Aの企業の社長として、どのようなことに取り組みますか?

「旧メビウス体制は、離職率の高さが大きな課題のひとつでしたので、そこを改善するために、残したいもの、なくしたいもの、変化すべき箇所などは多くあります。ただ、まずはシンプルに考えて軌道修正をしていきたいと思っています」

まずは整理整頓と組織改革をするのだろう。これから長谷川氏は、何かを壊し、何かを変更していくのかもしれない。もしくは生み出すのかもしれない。その答えが出るのは、半年〜1年後だろうか。

Q 「代表」とはどのような役割でしょうか?

「西村には、文字通り『代わりに表に立つこと』だと教わりました。私の場合は、従業員含め私より能力が高い人が多く周りにいてくれているからこそ、成り立っていると感じています。だからこそ、そんな仲間を大切に想い、守ることが私なりの社長の姿です」

この回答には驚いた。これまで出会ってきた経営者は、「偉い人」という印象だけが独り歩きしていることがほとんどだった。だが、彼は違う。代わりに表に立つ人。代表取締役のイメージや常識を壊された。

Q 今後の目標は?

「2倍、3倍と企業価値を高めていきます。それはただ数字が伸びることだけではなく、私も含めた従業員も“成長”することが重要です。また、これは西村の言葉でもありますが、『従業員が皆自分の意思を持って、“自分のために働くこと”を浸透させていきたい』。そうすれば自動操縦のような経営ができるはずです」

そう、冒頭の僕が参加した会議のように、経営者がすべてを決めている企業ではなく、社員一人ひとりが主体となって変えてゆく企業に変化していこうと考えているのだ。
次ページ > 従業員全員が「楽しい」と思える環境を

文=野呂エイシロウ

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事