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2022.06.12 12:30

胎内での新型コロナへの曝露、脳の発達に影響か 研究結果

Getty Images

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胎内で新型コロナウイルスに曝露していた場合、乳児(生後12カ月まで)が神経発達症(発達障害)と診断される可能性が高まるようだとする研究結果が発表された。妊娠中のワクチン接種の有効性はすでにこれまでの複数の研究によって指摘されているが、改めてその重要性を示すものといえそうだ。

神経発達症には、自閉症、双極性障害、統合失調症、学習障害、脳性麻痺など、脳や神経系の発達に関連する疾患が含まれる。研究チームによると、胎内で新型コロナウイルスに曝露した乳児が発話能力や言語・運動機能の問題に関連する神経発達症と診断される確率は、大幅に高まっていた。

米国医師会雑誌(JAMA)のオープンアクセスジャーナル「JAMA ネットワーク・オープン」に発表された論文は、パンデミック発生後に米マサチューセッツ州の病院で生まれた7772人を対象に行った研究結果に基づいたもの。これらの新生児のうち222人の母親が、妊娠中に新型コロナウイルスに感染していた。

ウイルスへの曝露と神経発達症の発生の関連性は、人種や民族、医療保険の加入状況、母親の年齢、新生児の性別、早産であったか(感染した妊婦は早産のリスクが高まることが知られている)など、神経発達症の発生に影響を及ぼし得るその他の要因を考慮に入れた場合でも、同様だった。

乳児にみられる神経発達症の発生は、母親が第3半期(妊娠28週目以降)に新型コロナウイルスに曝露した場合に特に多くなっていたという。ただ、その原因は明らかになっていない。

研究者チームは研究結果を受け、新型コロナウイルスが子どもの発達にどのような影響を与えるかについて、今後さらに多くの研究を行う必要があるほか、特定された関連性についての確認を急ぐ必要があると訴えている。

妊婦と胎児が直面するリスク


この研究結果は、パンデミックが妊婦と胎児に及ぼす「もう一つのリスク」の可能性を指摘するものだ。感染した妊婦は、重病にかかるリスクや死亡リスクが高まること、早産や重篤な合併症のリスクが大幅に高まることがすでに確認されれている。

早産児は、行動障害や心疾患など、健康問題を抱える可能性が高くなる。新型コロナウイルスのワクチンは、感染リスクを完全に排除するものではないものの、これまでの複数の研究結果によって、妊婦と胎児が直面するさまざまなリスクを軽減するための安全な方法であるとされている。

胎内での新型コロナウイルスへの曝露と神経発達症の関連性がどの程度のものか、またそれが本質的にどのようなものであるかについては、いまのところ明らかになっていない。

また、新たに発表されたのは観察研究の結果であることから、曝露と神経発達症の発生率の上昇の明確な因果関係を確立したものではない。さらに、発生率が高まるメカニズムを示唆するものでもない。

この研究では十分に考慮しなかった別の要因が影響している可能性もあるだろう。研究チームは、妊婦がインフルエンザなどその他のウイルスに感染した場合にも、子どもの神経発達症の発生率が高まることを指摘している。

今後、注意すべき点として挙げられるのは、子どもたちの成長に伴って新たに発生が確認される問題だ。パンデミック発生から、現時点でおよそ2年数カ月。この研究は生後12カ月までの子どもを対象としたものだが、神経発達症の多くは幼年期の後半になって診断されることが多く、思春期や成人期になってから現れるものも多い。そのため、問題の実際の規模をいま十分に理解することは、困難だといえる。

編集=木内涼子

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