ビジネス

2015.05.30 08:00

米国の経営者が選ぶ「私の愛読書」13冊




『シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」』 
ネイト・シルバー著(日経BP社刊)


著者のネイト・シルバーは、MLB選手のパフォーマンスを分析し、将来の成績を予測するプログラム(「PECOTA」)を開発し、2008年には、米大統領選挙で全米50州のうち49州の当選者を正確に予測した稀代のデータアナリストだ。この本を推薦するのは2013年にフォーブスの「中小企業ランキング」でトップとなった、Questcor Pharmaceuticals社のドン・ベイリーCEO。複雑に絡み合った情報のなかに混在するシグナル(予測の手がかり)とノイズ(雑音)の見分け方を説く本著を推薦している。

『国家が衰退する時(The Poverty of Nations: A Sustainable Solution)』
Barry Asmus、Wayne Grudem著(未邦訳)


グランドキャニオン・エデュケーションのミューラーCEOが推薦する本書は、世界にはびこる不平等と貧困の背景にある原因を検証する。「しっかりした政治・経済の枠組みをもつ国家が、なぜ衰退への道を歩み始めるのか、そのような事態を未然に防ぐにはどうすればよいのか、という問いに本質的な答えを出し、読む者に大きなインスピレーションを与えてくれる」という。ミューラー氏はこの本を自身が運営する大学の必読書にしたいという。

『脳科学の最前線(Touching A Nerve: The Self As Brain)』
Patricia S. Churchland著(未邦訳)


「面白くてページを繰る手がとまらなくなるこの本を、まだ読み終えたばかりだ」と語るのはProto LabsのCEO、ブラッド・クリーブランド氏。「我々の脳における神経の作用について書かれた本書は、豊かなインスピレーションを与えてくれ、とても勉強になった」

『ホーキング、宇宙と人間を語る』
スティーブン・ホーキング、レナード・ムロディナウ著(エクスナレッジ刊)


「ニューヨーク・タイムズ」でNo1ベストセラーのタイトルを獲得した本書は、科学的アプローチを駆使し、偉大なる宇宙の設計図に問いを投げかける。二人の著者は、種々の学説がある中でも、最先端の量子論を用い、「多元的宇宙」、すなわち複数の宇宙の存在を予測してみせる。

『アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方』 
マイケル・アブラショフ著(三笠書房刊)


著者のアブラショフが艦長の任務に就いた当時、米海軍のミサイル駆逐艦ベンフォールドは、装備のうえでは完璧だったが、それらを活かしきれない状況下にあった。彼は乗組員がおかれた状況や彼らの気持ちを理解することを最重要視するマネージメントを行い、この状況を打開した。この本を勧めるのは銃器販売会社Sturm、 Ruger&Co のマイク・ファイファーCEO。「よいCEOであるためには、常に学び続ける姿勢が必要だ」とファイファーは語っている。

『進化を引き起こす力(Dealing With Darwin)』
Geoffrey A. Moore著(未邦訳)


「古典的な題材をもとにインスピレーションを与えてくれる良書」と、システムソリューション企業のドブキンCEOは話す。「惰性の克服、そしてイノベーション、本書のテーマは実に単純明快だ」

『ガンと闘い抜いたシェフ(Life, on the Line)』
Grant Achatz著(未邦訳)


Cirrus Logic 社のジェイソン・ロードCEOは、成功したひとりのシェフが、自らの身に降りかかる病を克服するこの物語に感銘を受けたと話す。「グラントは、キャリアが今まさに花開こうとしているときに舌がんと診断され、見事にそれと闘い抜いた世界的シェフだ。本書の内容は、先を見通す力と強い精神力があれば、如何なる困難も克服できるということを示している」

『アナンシの血脈』
ニール・ゲイマン著(角川書店刊)


USシリカ・ホールディングスのブライアン・シンCEOはSFを好む。「ビジネス書はあまり読まない。未来について考えさせてくれる本が好きなんだ。実際、何年も前に書かれた本に、現在私たちが利用しているBluetooth イヤホンや、折りたたみの携帯、iPad につながるアイデアが書かれている。私の場合、ビジネス書を読むよりはるかに多くのアイデアを、こういった本から得て来た」


『世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー』
ジョン・マッキー著(翔泳社刊)


米国最大手の自然食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」創業者が実践する経営スタイル「意識の高い資本主義」(コンシャス・キャピタリズム)を紹介する一冊。この本を推薦するオーガニックのパスタ等を販売するアニーズ社CEOの John Forakerは「ビジネスには、社会をより良い方向へ変化させる力がある。私は、ホールフーズという素晴らしい会社をつくり、新たなカルチャーを創造したジョン・マッキーを、心から尊敬している」と語っている。

『スティーブ・ジョブス』
ウォルター・アイザックソン著(講談社刊)
 

ボストン・ビールの創業者、ジム・クックが推薦するのはApple創業者、スティーブ・ジョブスの人物伝だ。「この本では、クオリティに対するジョブスの異常なまでの執念が描かれる。ジョブスは、製品のクオリティと自らの会社に、一切の妥協を許さなかった。同じ創業者である私にとって、この姿勢は堅固な会社経営を持続させるために最も重要なことだ。本書ではジョブスの失敗についても赤裸々に書かれており、貴重なレッスンを与えてくれる」

『ニンジャ・イノベーション』
ゲーリー・シャピロ著 (アルファポリス刊)


「ここに書かれていることのすべてに同意するわけではないが、ゲーリー・シャピロの『ニンジャ・イノべーション』は、実に興味深い内容だ」と語るのは光ファイバーケーブル関連メーカー、Clearfield社CEOのBeranek 氏。「企業にとって、スピードや敏捷性がいかに重要かを教えてくれる」という。

『世界最強の商人』
オグ・マンディーノ著 (角川書店刊)


ハフィットという少年を主人公としたファンタジー小説。「この教えを守ると世界最強の商人になれる」という巻物を、少年はある善行がきっかけで受け取る。自分自身を信じ、信念をもって仕事をすれば報われるという成功哲学の書。邦訳はスピリチュアル系の書籍の翻訳で名高い、山川紘矢/亜希子夫妻。


『LEAN IN(リーン・イン)女性、仕事、リーダーへの意欲』
シェリル・サンドバーグ著(日本経済新聞出版社刊)


Facebook、COO(最高執行責任者)、シェリル・サンドバーグは、職場における男女の比率を分析し、女性がリーダーへの道を歩もうとするとなぜその道は往々にして閉ざされるのか、その原因を探る。「特に半導体産業にあっては、女性管理職の数は驚くほど少ない。現在大学に在籍している私の3人の娘たちが、それぞれのキャリアをスタートさせるにあたって、この本はきっと大事なことを教えてくれるはずだ」とSynaptics社のリック・バーグマンCEOは語っている。

文=ローレン・フェルドマン(Forbes)/ 編集=上田裕資

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