下院でも可決され、ギャビン・ニューサム知事(民主党)が署名して新法として成立すれば、こうした法律の施行は米国の州ではコロラドとワシントンに次ぎ3例目、他の自治体も含めると7例目となる。求人広告への給与掲載義務は従業員数15人以上の雇用主が対象で、これにより求職者は企業側から意図的に標準より低い額を提示されたり、希望額より低い賃金の仕事に応募して時間を無駄にしたりすることを防げる。
カリフォルニア州での法制化は、非常に大きな影響を及ぼす可能性がある。雇用主に同様の義務を課す動きが、全米に拡大する転換点となり得るからだ。法案の内容はニューヨーク市で今年可決されたものと似ているが、同市での新法施行は雇用主からの反発により11月まで延期された。ニューヨーク都市圏の企業に雇用される人や市内に居住するリモートワーカーが多いことから、義務化の対象となっていない地域の企業も社の方針としてこれを採用する動きが出ている。
しかし雇用問題の専門家は、カリフォルニア州の新法がゲームチェンジャーとなり得ると指摘する。男女間の賃金格差分析サービスを提供する米IT企業シンディオのクリスティン・ヘンドリクソン副社長(戦略イニシアチブ担当)は「カリフォルニア州では膨大な人数が雇用されている。これが突破口となり、(企業にとっては)もはや場所ごとに対応を考える合理性がなくなる可能性がある」と言う。
カリフォルニア州の法案では、求人広告での給与公表のみならず、従業員が自分の役職に関する給与体系の開示を求める権利を定めている。ヘンドリクソンによると、ニューヨーク市の新法では給与体系の開示までは要求していない。
さらに、雇用主が賃金と労働時間を性別、人種別、民族別に報告する義務を負う現行法も改正され、情報はウェブサイトを通じて一般に公開される。対象は従業員数250人以上の雇用主で、施行は数年かけて段階的に行われる。