フロイドの死から2年、米人種問題は改善したのか 黒人意識調査

Photo by Stephanie Keith/Getty Images

米国で2020年2月25日、黒人のジョージ・フロイドが白人警官により殺害された悲劇的事件を受け、米企業は自らが人種差別に加担している事実と向き合うことを強いられた。それから2年がたち、フォーブスが米国の黒人を対象に行ったアンケート調査では、この問題への取り組みで信頼されている組織として、非営利団体や小企業、さらには政府が挙げられた一方で、大企業は最下位だった。
 
その一因には、大企業に対する期待が非常に大きかったことがある。2年前の事件を受け、企業は多くのことを約束したものの、実際の変化のスピードは企業の約束よりもはるかに遅かった。
 
フロイドの死から2年の節目に合わせ、フォーブスは米調査会社ハリス・ポールに委託し、米国に住む黒人の成人を対象としたアンケート調査を実施。調査は4月29日~5月1日と5月6~8日の2回に分け、それぞれ211人と210人を対象に行われた。
 
自分の身の安全を感じられると答えた黒人は6割近くに上ったが、3分の1は2年前と比べて安全ではないように感じると回答。その理由の一つに、2020年以降も549人の黒人が警察により死に至らしめられたことがある。警察による暴力についての統計をまとめるマッピング・ポリス・バイオレンス(Mapping Police Violence)によると、黒人が警察に殺害される確率は白人の3倍近くだ。
 
回答者の大半は、人種間の平等実現に向けた企業各社の取り組みを好意的に評価。企業の努力が認められた分野としては、黒人人材の採用・保持(59%)、黒人に対する偏見とマイクロアグレッション(日常で何気なく行われる差別的な言動)に関する意識向上(55%)、人種的多様性向上の取り組みに関する透明性や説明責任の改善(53%)、黒人コミュニティーへの投資(52%)、黒人コミュニティーに影響する社会問題についての立場表明(52%)があった。
 
人種間の平等を推進する上で最も有意義な変化をもたらすと思える組織について尋ねたところ、上位から順に非営利団体(62%)、小企業(60%)、教育機関(49%)、医療機関(48%)、政治/市民団体(42%)、地方自治体/州政府(41%)、連邦政府(40%)、大企業(38%)となった。
 
回答者の3分の2は、生涯のうちに黒人の持ち家率が大きく向上するだろうと考えていた。また、黒人の事業への投資が増えると考える人は64%、黒人の教育機関への資金提供が増えると考える人は57%、求人市場の公平性が向上すると考える人は55%、米国における黒人の全体的な待遇が改善すると考える人は54%だった。
 
回答者の半数は、生涯のうちに刑事司法や刑務所の大改革が行われるだろうと答えた。47%は、警察による残虐行為がなくなるだろうと答えた。

編集=遠藤宗生

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