物語の舞台は、世界に降り注いだ泡(バブル)で重力が壊れた東京。パルクールチームのエースである主人公の少年ヒビキ(CV志尊淳)らの前に、ある日不思議な力を持つ少女ウタ(CVりりあ。)が現れる。徐々に心を通わせていく2人だが、突如激しく降り注ぐ泡によって東京は沈没の危機に。2人の運命はー。
監督は「進撃の巨人」や「ギルティクラウン」などを共に制作してきた荒木哲郎。脚本を「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄(うろぶちげん)が、キャラクターデザイン原案を「DEATH NOTE」の小畑健が手がけたことでも話題だ。
さらに、企画・プロデュースは、新海誠監督の「君の名は。」や細田守監督の「バケモノの子」などのアニメーション作品も多く手がけてきた川村元気が担当した。
人気作品を多く手掛けてきた彼らが、オリジナルで劇場映画をつくった狙いとは? 荒木監督とWIT STUDIO代表の和田丈嗣に劇場公開前に全世界配信に踏みきった背景や、これからのスタジオビジネスのあり方について聞いた。
(c)2022「バブル」製作委員会
オリジナル作品で価値を上げていく
──「バブル」の制作はいつ頃から、どういった狙いで始まったのでしょうか?
荒木哲郎(以下荒木):プロデューサーの川村元気さんに初めて会ったのが2017年。そこから始まって、企画が固まるまでに半年以上の時間がかかりました。
和田丈嗣(以下、和田):もともと、WIT STUDIOとしてオリジナルアニメの劇場版をつくりたいという思いがずっとあったんです。オリジナル作品にこだわるのは、スタジオとしても監督としてもバリューを上げるチャンスなので。
宮崎駿さん、細田守さん、新海誠さんといったアニメ界の先人たちを見てもわかるように、監督が「作家」として知られるようになったきっかけはオリジナル映画でのヒットが大きい。自分たちの名前や存在をもっと知ってもらうためには、原作ものだけでなくオリジナル作品を制作しなければという思いがあった。そこで「ギルティクラウン」や「進撃の巨人」などを一緒にやってきた荒木さんにお声がけしました。