バナナがこれほど多くの廃棄物を出す理由のひとつは、皮は食べられない、使い道がないという誤解だ。実際にはバナナの皮は、適切に調理すればおいしく食べることができる。さらに重要なのは、機能性食品用原料としての、大きな可能性を秘めているということだ。
バナナの皮には、タンパク質、食物繊維、ビタミンC、ビタミンA、カルシウム、鉄、必須アミノ酸、多価不飽和脂肪酸、抗酸化物質、カリウムが豊富に含まれている。また、メンタルヘルスや神経系の機能、血圧のコントロールに重要な役割を果たすドーパミンやエピネフリン、ノルエピネフリン、セロトニンといった生体内アミン(カテコールアミン)の供給源でもある。
バナナの皮には炭素が多い有機化合物が含まれており、分解・生分解には2年近くがかかる。そのバナナの皮を食品として消費することは、廃棄物と温室効果ガスの排出量を減らすことになるのと同時に、バナナ全体の栄養素密度(エネルギーあたりの栄養素の量)を高めることにもなる。
皮を使った食品・飲料が増加
バナナに関するこうした事実に、すでに気づいている人たちもいる。食品や飲料に関する調査・分析が専門の米スプーンショット(Spoonshot)によると、「食品としての皮」に関する検索件数は、ここ数年で大幅に増加。2015年からおよそ3倍に増加している。
以下、注目を集める食品としてのバナナの皮(バナナピール)を利用した、いくつかの食品と飲料を紹介する。
・バナナピール「ミート」
オランダのスタートアップ、バナナビジネス(Banana Business)は、バナナの皮を使った食品の開発を通じた食品廃棄物の削減に取り組んでいる。豚肉を使う「プルドポーク」に代わる「プルドピール」は、バナナの皮を代替肉として使った同社の製品の一つだ。