ノババックスのコロナ・インフル混合ワクチン、初期治験で良好な結果

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米ノババックスは20日、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの混合ワクチンの初期臨床試験で良好な結果がみられたことを明らかにした。同社の新型コロナワクチンやインフルエンザワクチンと同等の免疫反応の誘導が認められたという。副反応はおおむね軽く、安全性も確認されたとしている。

ノババックスのワクチンは、ファイザーやビオンテック、モデルナの新型コロナワクチンのような「メッセンジャーRNA(mRNA)」タイプと異なり、「組み換えたんぱくワクチン」と呼ばれるもの。ウイルスの表面にあるたんぱく質を基に、遺伝子組み換え技術によって抗原のたんぱく質をつくり出す。

新型コロナ単独のワクチンのほうはすでに世界40カ国以上で承認されており、日本でも19日に正式承認された。インフルワクチンも第3相臨床試験に入っている。

ノババックスのグレゴリー・グレン社長(研究開発担当)は「今回得られたデータや、インフルと新型コロナそれぞれの単独ワクチンに加え、混合ワクチンについても(実用化に向けた)道筋が見えてきたことに勇気づけられている」と述べている。

ノババックスのフィリップ・ドゥボフスキー最高医療責任者(CMO)によると、混合ワクチンの次のステップとなる第2相臨床試験は年内に始まる見通し。抗原や免疫補助剤(アジュバント)の適切な投与量を最適化することが目標になるという。第3相試験については、2023年のインフルシーズンに合わせて実施できるのが理想的としながらも、この2年、新型コロナ対策の影響でインフルの流行周期は遅くなっているため、コロナの状況次第になりそうだと話している。

ドゥボフスキーは混合ワクチンの最大のメリットとして、別々のワクチンを打つよりも原料が少なくすむ点を挙げている。そのため、製品化できれば「より多くのワクチンを生産でき、より多くの人に届けることができる」と強調している。

編集=江戸伸禎

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