皮膚科医らによると、日焼けしたような肌を本当に手に入れたい場合はクリームやスプレー(あるいはただ色がついたメーキャップでもよい)が最も安全な選択肢だ。しかし、紫外線はどのようなものでも、肌の完全な状態に非常に深刻な影響を短期・長期的にもたらしかねず、あらゆる種類の皮膚がんのリスクも高まる。
ティックトックではこのほど、新たな憂慮すべきトレンドが生じている。屋内でも肌を日焼けさせるための、メラノタンと呼ばれる物質(メラトニンとは混同しないこと)を含む鼻腔用スプレーの宣伝だ。
メラノタンは合成的に誘導された化学物質で、メラニン細胞刺激ホルモンと呼ばれる体内のホルモンの作用を模倣するものだ。このホルモンは人によって異なる量で存在し、一部の肌細胞に色素の生成を促すだけでなく、最も死亡率が高い皮膚がんである黒色腫(メラノーマ)の増殖を誘発する場合もある。
メラノタンはその危険性が知られているにもかかわらず、インフルエンサーの動画で紹介されてきた。インフルエンサーらは動画内で、米食品医薬品局(FDA)の承認を得ていない無認可の同物質を含む鼻腔用スプレーを使用し、その後メラノタンを「活性化」させるため紫外線タニングベッドを使用している。
肌の日焼けはタニングベッドによるものである可能性が高いが、メラノタンは肌のメラニン細胞を刺激し過度に活性化させるため、ほくろができたり、20代の若者の間でさえメラノーマが生じたりする。ネットで購入できるこのスプレーを使用することで、吐き気や嘔吐(おうと)、頭痛、目まいが生じる可能性もある。
医師らがこうした商品の使用に反対するようになり、商品を宣伝するティックトック動画の多くは削除された。インフルエンサーの中には、その影響力を活用してこの商品の危険性を共有してきた人もいる。