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2022.04.11 16:30

テスラ、リチウム自社採掘も マスクCEO「コスト高続けば参入あり得る」

イーロン・マスク(Photo by Christian Marquardt - Pool/Getty Images)

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は8日、電気自動車(EV)のバッテリーなどに使われるリチウムの価格が「常軌を逸した水準」に跳ね上がっているとツイッターに書き込み、自社で採掘・精製事業に乗り出す可能性に言及した。

マスクは、リチウム価格のここ10年の高騰ぶりを紹介した「World of Statistics」のツイートに、「コストが改善しなければ、テスラは大規模な採掘・精製に直接参入せざるを得なくなるかもしれない」と返信。「リチウムは地球のほぼどこにでも存在し、それ自体が不足しているわけではないけれど、採掘・精製のペースは遅い」と不満を示した。

リチウム価格は過去2年で1200%上昇しており、こうしたコスト高からテスラは先週、ドイツで「モデル3」の7000ユーロ(約95万円)値上げを余儀なくされている。その結果、ドイツでモデル3は連邦政府による9000ユーロ(約120万円)の購入補助のかなりの部分が利用できなくなり、価格競争力を落とすことになった。

EVは今後さらに普及すると見込まれるが、国際エネルギー機関(IEA)は昨年の報告書のなかで、欧米諸国が掲げているEV発展目標を実現しようとする場合、リチウムの需要は2040年までに4000%増えることになると警鐘を鳴らしている。

最近ツイッターの筆頭株主になったマスクは同じスレッドで「持続可能なリチウム採掘・精製について、われわれにはクールなアイデアがいくつかある」とも明かした。フォーチュン誌は2020年に、テスラは鉱山会社の買収交渉が頓挫したあと、ネバダ州でリチウムを自社採掘する権利を取得したと報じており、マスクは少なくとも同年以降、自社採掘の必要性について検討を続けてきたようだ。

テスラは今月、同社最大の「ギガファクトリー」をテキサス州で開所。マスクが経営するもうひとつの企業スペースXは、民間人のみの一行を国際宇宙ステーション(ISS)に初めて送り届けた。これらの偉業を踏まえれば、マスクが新たに鉱山会社の立ち上げに成功しても驚くには当たらないだろう。

編集=江戸伸禎

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