そんな米国では、日本と違い「マスク事情」が変化してきている。
アメリカでは野外でのマスク着用義務は2021年に既に解除されており、NY州は今年2月に室内でのマスク着用義務が解除された。
筆者が住むNY州の中のマンハッタンを含む、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、ロングアイランドの5つの地域からなるNY市では、今月7日からは公立の学校でのマスク着用義務もなくなった。飲食店でのワクチンパスポート提示義務もなくなり、飲食店・小売店内でのマスク着用の有無の判断は店舗側に一任されている。
筆者は、NYの街が「ロックダウン」状態になった後、段階を踏んで店舗が再開し始めた2020年初夏ごろからの2年弱、アッパー・イースト・サイドのハイエンドブティックが立ち並ぶ地域と古くから住む安定した豊かな暮らしをしている人々の生活エリアを継続的に定点観測してきた。
そこを歩いている人々の種類と動きやその数、店舗の復活と動員の推移、目に留まる商品、人々の様相の現実を観察し続けることで、時代の変化の方向性と復活の具合を予測し、エンデミック後の時代に向けた人々のニーズやトレンドを掴み、マーケティングとブランディングを検討するためだ。
Upper East Side of New York /Getty Images
特に野外でのマスク義務がなくなった昨年から現在にいたる変化として気が付いたのは以下の点である。
・屋外でマスクをしている人は、特に今月に入り非常に減った
・現在の屋外でのマスク着用率は、街を歩いていて目にする人口の2割(地域によっては3割〜4割)
・店員のマスク着用は、店舗によって判断が分かれている
(ドア近くに立つセキュリティスタッフのマスクの有無に、店が定めている基準が反映されているケースが多く見受けられる)
つまり、マスク着用の義務がなくなっても、一部のニューヨーカーは未だにマスクを着用していることが分かる。
もしかすると日本にお住まいの方は、「マスク着用率2割」と聞くと「ほとんど皆していないようなもの」と思うかもしれない。しかし、思い出して欲しい。もうアメリカでは、(特に野外では)マスク着用の義務はない。しかも、コロナ以前は日本のようにマスクに馴染みのある国とは違い、マスクをしていれば”相当な病気を患っている人”と見られてしまうような国だ。しなくても良いマスクを2割もの人がしている、”顎マスク”で顔に所持している人を含めればその比率はもっと高くなる、この事実は驚くべきことだと思う。