ナスダック総合は過去1週間にやや持ち直したものの、14日には昨年11月の高値から20%超下がり弱気相場に突入した。しかし、これまでのデータに基づくと、大きな下げ相場のなかで買いを入れた人は報われる傾向にある。以後1年、3年、5年、10年といったスパンでみると株価は盛り返すことが多いからだ。
リソルツ・ウェルスマネジメントで機関投資家向け資産運用の責任者を務めるベン・カールソン氏は自身のブログで、「弱気相場の局面で株を買うのは一般的に良い戦略だ」と指摘する。カールソンのデータによれば、弱気相場入りしてからのナスダック総合の平均リターンは、1年後22%、3年後52%、5年後87%となっており、10年後には328%に達している。
ネーションワイドの投資調査部門を率いるマーク・ハケットは、先週の株価反発は「投資家の間に楽観的なマインドセットに移る用意があることの表れ」だとみる。ハケットは今の市場はファンダメンタルズを好感しており、株価は今後さらに上昇するとの見通しも示している。
JPモルガン・チェースは、今年の米国株には「まだ上値がある」と判断している大手投資銀行のひとつだ。JPモルガンは、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利引き上げやロシアのウクライナ侵攻による不透明感が続くなかでも、株価は足元の水準から10%上がる可能性があるとしている。
ナスダック総合は直近では2018年と2020年にも弱気相場入りしているが、翌年にはそれぞれ37%と73%の上昇を記録した。また、2008年の世界金融危機時に比べると235%も上がっている。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディは、米経済の成長について「上振れするサプライズ」があるかもしれないとしつつ、すべてはFRBが景気回復を損なうことなく迅速に金利を正常化できるかにかかっていると述べている。一方で「ロシアのウクライナ侵攻が続くかぎり、リセッション(景気後退)とスタグフレーションは重大な脅威になる」と警鐘も鳴らしている。