オクトーバーは、自らの使命は「難民となったクリエイティブ業界の関係者たちが仕事を見つけ、ビジネスを継続できるよう支援することだ」と語る。それは、「文化の成長を止めないために、重要なこと」だという。
「この国の経済を立て直すこと、それは私たちの責任です。ただ、そのために私たちに必要なのは、哀悼の言葉ではなく、協力的な支援なのです」
自らのビジネスを守り、同時にほかのウクライナ人デザイナーたちを支援するため、彼女はパリで1日20時間、働き続けている。
「強さ」を手に入れた
「恐怖は力に変わった」と彼女は言う。
「それが私に、勝つための燃料をくれています。私は強い女性ですが、これが今後より一層、私を強くしてくれることは間違いありません」
ただ、オクトーバーは自身のその強さが、恐ろしい犠牲を伴ったものであることも認識している。
「このような代償を払ってまで、この強さを手に入れたかったとは思っていません」
「ですが、私は今まさに、人の命と、仕事を守ることに集中しています。ですから、感情的なことについてはほとんど考えていません。私自身は、創作活動によって癒されています」
デザインから生産までを一カ所で行うことができる場所として、キエフにはここ数年、多くのブランドが進出していた。それぞれデザインから調達、コレクションの完成までをウクライナ国内で行い、より持続可能なサプライチェーンモデルの構築を目指していた。
オクトーバーは自身のブランドについても、「柔軟なビジネスモデルを築いてきました。すべてを代わりの場所で行うことができます」と述べている。事業を再開する場所としては、エストニアやトルコを検討しているという。
つまり、唯一の問題は、ともに活動するチームのことだ。もちろん、すべての在庫や生地を失えば、それは金銭的に多大な損失だ。だが、それらは取り戻すことができる。
もはや恐怖心はないというオクトーバーは、最後にこう語っている。
「未来は、より強いものだと思っています。勇気をもって、私自身の最大の夢、野心を実現させるつもりです。もう何も、恐れるものはありませんから」