米学生ローン大手で不正横行か 不当取り立てなどで利用者が提訴

バイデン大統領は大学生の教育ローン返済免除公約を掲げている(Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images)

米国で約1300万人が利用する大手学生ローン業者が、利用者への不正確な情報提示や違法な給与差し押さえなど、組織的な不正をはたらいている疑いがあることがわかった。

全米通信労働組合(CWA)と学生ローン利用者保護センター(SBPC)の報告書によると、「エイドバンテージ(Aidvantage)」というブランド名で米連邦政府の学生ローンを手がけるマクシマスに対する調査で、同社による「組織的な管理不備や怠慢、不正行為」を示す新たな証拠が見つかった。

報告書で「世界最大の学生ローン業者」とされているマクシマスは、具体的には以下のような不適切行為や違法行為にかかわったという。

・ずさんな学生ローン業務:利用者からは、エイドバンテージについて「新アカウントにオンラインでアクセスできない」「ローン返済の再開時期について尋ねると誤った情報を教えられた」「ローンを借り換えた際、事務手続きがなかった」といった苦情が出ている。

・不当な学生ローン債権取り立て:所得の低い債務者らは、マクシマスが債務不履行者の権利を侵害したとして同社を相手取って訴訟を起こしている。

・違法な給与差し押さえや不適切な公的給付金徴収:マクシマスは、債務不履行を起こした学生ローン利用者からの賃金や社会保障給付、税金の払い戻しなどを不適切な徴収でも訴えられている。

これに対し、マクシマスの広報担当者は「報告書にはいくつかの点で重大な誤りがある」と反論。苦情についてはエイドバンテージとは無関係なものが含まれるなど数や性質の説明が不正確だとしたほか、そもそもマクシマスは「学生ローンサービス会社」ではなく政府の事務作業を代行する請負業者で、学生ローン債務の回収などは行っていないと主張している。

CWAとSBPCは、マクシマスの不正疑惑への関心を高めるとともにすべての学生ローン利用者が公正に扱われるようにするため、「エイドバンテージ・ウォッチ」と呼ぶプロジェクトも始めた。利用者は専用ウェブサイトで自分の体験を共有したり、不正被害に遭った際に当局に連絡する方法を調べたりできる。

編集=江戸伸禎

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