新型コロナウイルスの流行が始まってから、人々の労働はかつてないほど長時間化した。最初の1年半は特に、自宅に缶詰めとなったことや、成果を出すことへのプレッシャー、仕事を失うリスクがその要因となった。夜や週末でも、電話やテキストメッセージ、電子メール、スラックのメッセージ、ズーム会議に応じることが期待され、従業員には大きな負担になった。
ベルギーでは今月から、労働者の生活の質を向上させる取り組みとして、連邦政府の公務員は労働時間外に上司の電話やメールに返答する義務をなくす新法が施行された。公務員は今後、時間外に受けた連絡に応じなかったからといって、罰則や異なる待遇を受けないことが保証される。ただし、「例外的で予測できない状況では、次の勤務日を待たずに行動を取る必要がある」とされている。
ベルギーの公共サービス関連相を兼務するペトラ・デステル副首相は、ストレスや燃え尽き症候群を「現代に実在する病気」と表現。公務員に仕事を離れる権利を与えることで、「過剰な仕事のストレスや燃え尽き症候群」を抑えられるとの見解を示した。
ベルギーと同様、ポルトガルでも以前、「不可抗力の場合を除き、雇用主は勤務時間外の従業員への連絡を控える義務がある」と規定する労働法が制定された。対象となるのは、オフィス勤務と遠隔勤務の両方だ。雇用主が従業員のプライバシーを侵害することは重大な罪と見なされ、違反した上司は罰金を科される可能性がある。
欧州はこの面で、米国よりはるかに進んでいる。仕事を離れる権利を初めて認めたのは2016年のフランスで、その後はイタリアが17年、スペインが翌年に続いた。アイルランドは21年、全ての従業員に対し仕事を離れる権利を保証した。