「米国の平均年収は9千万円」 名門校学生の回答に教員あぜん

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同じようなことが最近のニューヨーク市長選でも起きていた。候補者は、同市のブルックリン区での住宅価格を尋ねられた。米紙ニューヨーク・タイムズによると、うち2人の回答は、正解から1桁もずれていた。

オバマ政権で住宅都市開発長官を務め、マイケル・ブルームバーグ市長の下でニューヨーク市住宅保全開発局長を務めた経験をアピールしていたショーン・ドノバン候補は、10万ドル(約1150万円)前後と回答。投資銀行家でシティーグループ元役員のレイモンド・マグワイア候補は8万~9万ドル(約920万~1030万円)と答えた。

だが正解は90万ドル(約1億円)だった。最終的に当選したエリック・アダムズの回答は、55万ドル(約6300万円)だった。

ウォートン校の学生とニューヨーク市長選の候補者が持っていた年収と住宅価格についての誤解は、米国人の貧富や収入の格差が大きいことが原因かもしれない。あるいは「近接性バイアス」が関与している可能性もある。

裕福な人は他の裕福な人と交わり、貧しい人は同じ低所得者の近くに暮らしている。それぞれのグループは、互いの生き方について全く知らないかもしれない。

金や給料の話はタブーだと考えられているが、最近は給料の透明性を高めようという動きもある。ニューヨーク市では新法の導入により、求人時の職務記述書での給料の明示が義務付けられる。給与額が公開されることで、求職者は交渉がしやすくなるだろう。

編集=遠藤宗生

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