ひとつは「想いを伝える」こと。どういう想いでこの仕事をしているのか、その想いを伝えるのだ。2つ目は「専門的な情報を発信する」こと。多少マニアックな情報のほうが、専門性を理解してもらうことができる。
そして最後は「お客さんの悩みを解決する」こと。人がネットで悩みを検索した際に、答えを求めて視聴してもらえるからだ。さらに、その解決のプロセスで専門性も伝えられる。
実際の動画も見ていただきたい。
「ホンダシビックタイプR歴代販売台数ナンバー1 F1店長生涯販売台数3000台への道のり」(2020年12月公開)
この15分程度の動画では、F1のエンジニアだった時代から家業のホンダディーラーに戻るまでの松本店長の歩みのほか、「シビックタイプR」という、そのままでもサーキットを走れるような、スポーツカータイプの車に魅せられた話などが展開される。
「人の“想い”は、最も独自性を出しやすい部分です。つまり、我々のような中小企業ユーチューバーは“人”で差別化すると良いと思います。人を動かしたり感動させたりするのは結局、人なのですから」
YouTubeでやりがちな失敗とは?
ホンダカーズ野崎では、専門性が伝わるマニアックな動画も数多く上げている。例えば以下のような動画だ。
「F1エンジンのピストンリング開発について 元無限ホンダF1エンジン設計者が語ります」(2019年9月公開)
ほかにも「ホンダEK9シビックタイプRエンジンB16B分解解説」「ホンダFK8シビックタイプR エンジンブロー解説」などがある。動画のなかで実際にエンジンを分解して見せるなど、マニアックな情報が満載だ。
「お客さんの悩みに答える動画」については、「ヘッドライトの新品への交換方法」「事故車の修理」といった車のメンテナンスに関する情報から「弁護士費用特約解説」まで、実に幅広く制作している。
「中小企業がYouTubeでやりがちな失敗が、『自分の好きなように動画を作ってしまうこと』です。私たちにとっては当たり前の簡単なことが、実はお客さまにとっては知りたいことだったということがよくあります。お客さまの需要を無視して、自分が作りたいものを作っても、興味を持ってくれなかったり、見てもらえなかったりするのは当然です」