米疾病対策センター(CDC)は先ごろ、2回のワクチン接種を完了した人が感染によって死亡、または重症化するリスクは大幅に低下していたとする調査結果を発表した。死亡した人の大半には、感染前から複数の基礎疾患があったという。
この調査結果は、現在使用されているワクチンが有効であることを示す証拠といえる。また、高リスクの人にはブースター接種と、感染予防策の一層の強化が必要であることを示すものでもある。
CDCがこの調査対象としたのは、2020年12月~昨年10月に米国内の465カ所の医療機関でワクチン接種を完了した成人およそ123万人。このうち2246人が接種後に感染し、189人が急性呼吸不全を起こす、集中治療室(ICU)に入るなど重症化していた。死亡したのは36人だった。
ワクチン接種を完了した65歳以上の人が重症化する可能性は、その他の人たちより3.22倍高かった。また、免疫不全の人、もともと基礎疾患(肺疾患や心疾患、慢性腎臓病、肝疾患、神経系疾患、糖尿病など)があった人も、重症化するリスクがより高くなっていた。
重症化した189人は全員に、少なくとも1つの危険因子(年齢、基礎疾患など)があったという。さらに、死亡した人の78%には、危険因子が4つ以上あったことが分かっている。
そのほかこの調査では、ワクチン接種を受け、感染した人が重症化する可能性は低いこと、感染後にモノクローナル抗体薬による治療を受けた人は一人も重症化しなかったことが確認されている。
高まるブースター接種の重要性
CDCは昨年9月、ワクチンが重症化を防ぐ効果は18〜64歳の成人で95%、65歳以上の高齢者で80%とする調査結果を発表した。また、昨年12月に公表された査読済みの論文では、変異株のデルタ株が優勢になって以降、高齢者へのワクチンの有効性が低下していたことが明らかにされている。
また、CDCの別の研究では、ワクチン接種を受けた人が感染して重症化する可能性は、ファイザー製とジョンソン・エンド・ジョンソン製がほぼ同程度であること、モデルナ製ではさらに低くなっていたことが確認されている。モデルナのワクチンは1回あたりの用量が多いことが、重症化と死亡のリスクをより大幅に低下させることにつながったとみられている。
これまでの研究の結果、これらのワクチンがオミクロン株の感染を防ぐ効果はその他の株より低くなったとみられている。ただ、その効果は追加接種を受けることにより、大幅に高めることが可能だとされている。