ただ、誰もが実践しているからといって、誰もがそれを正しく行っているわけではないようだ。先ごろ発表された新たな研究結果によると、ほとんどの人たちはマインドフルネスの実践方法を誤解しているという。
ジャーナル、クリニカル・サイコロジー・レビューに掲載された論文によると、マインドフルネスを行っている人の大半は、それを「問題を受け入れるもの」と解釈している。だが、実際にはそうした捉え方は、マインドフルネスが目指すものとは“正反対”のものだ。
「受け身」のものではない
仏教に起源を持つマインドフルネスは、大きく分けて「気づき」と「受容」の2つの部分からなる。気づきは、そのときどきの自分の感情や思考など、今その瞬間の自身を観察するメタ認知のプロセス(自己の認知の在り方を客観的に把握すること)だ。
リラックスするため、そして思考における成長のためのツールとして、気づきが非常に役に立つものであることは間違いない。問題は、マインドフルネスを行っている人の多くが、実際にはそこで立ち止まり、先に進んでいないということだ。
論文の筆頭著者であり、カナダのトロントにあるライアソン大学テッドロジャース経営大学院のエレン・チョイ助教(組織行動論)は、気づきの次のステップである「受容」について、次のように述べている。
「マインドフルネスの普及に関わる専門家たちによると、一般の人たちは受容を、自らの経験を受け入れ、認めることだと誤って解釈している」
そのため、問題に積極的に向き合い、解決するというマインドフルネスの最大のメリットを享受できていないという。