メディケアは65歳以上の米国民に医療保険を提供しているほか、大学院の医学教育や医師の臨床研修にも資金を出している。
メディケアや低所得者向け医療保険(メディケイド)を運営するメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)によると、要件を満たす医療機関を対象に、メディケアが資金援助する研修医枠を5年間、年200増のペースで段階的に拡大していく。新制度を10年にわたって完全に実施した場合、合計で18億ドル(約2000億円)ほどの経費がかかる見通しだ。
CMSによると、メディケアが資金援助する研修医ポストの増設としては過去25年あまりで最大規模になる。
米国では医師の増員が求められながらも、研修医ポスト向け資金の不足がこの20年あまりネックとなってきた。米国医科大学協会(AAMC)は今年、このままいけば2034年時点で国内の医師が3万7800〜12万4000人不足するおそれがあると警告していた。こうしたなか、米議会は今年ようやく予算措置を講じていた。
AAMCはバイデン政権や議会の決定を「歴史的」と歓迎する一方、CMSが新たに資金援助する研修医枠の配分で病床数250未満の病院など特定の医療機関を優先することにした点に失意を表明。より多くの医療機関で研修医を支援できるよう、さらに踏み込んだ対応が必要だと訴えた。