グーグルと対立深めるウーバー「大物女性重役」を引き抜き

グーグルで公共政策・広報部門を統括するレイチェル・ウェットストーン上級副社長(Courtesy Google)



ウーバーは5月13日、グーグルで公共政策・広報部門を統括するレイチェル・ウェットストーン上級副社長を引き抜いたと発表した。

ウーバーによれば、ウェットストーン氏は同社で前職と同様の役職に就く予定。そのポストはもともと、ウーバーがオバマ大統領の「選挙参謀」としての手腕を評価し、同社の「規制当局との交渉担当」として昨夏に迎えたディビッド・プラフ氏のために用意したものだった。

2008年からグーグルの広報・政策部門を率いてきたウェットストーン氏の離脱は、グーグルにとってはかなりの痛手となろう。ウェットストーン氏はグーグルの経営を支える3名の女性重役の一人で、エリック・シュミット会長やセルゲイ・ブリン、ラリー・ペイジらのアドバイザーとしても知られていた。

ウーバーによれば、今回の組織改編でディビッド・プラフ氏はウーバーの取締役となり、同社とトラビス・カラニックCEOの顧問として同社に留まるとのこと。ウェットストーン氏とプラフ氏は共にカラニックCEOの直属となる。

ウーバーにとって規制当局や外部機関とのコミュニケーションは非常に重大な役職だ。同社は全米、そして全世界で急速に事業を拡大しており、規制や法律、公共安全上の様々な障壁に直面している。同社では過去数年にわたりロビー活動にも力を注いできた。

今回の引き抜きは、かつては協力関係にあったウーバーとグーグルが、その後急速にライバル関係に変化していることを示唆する出来事でもある。ウーバーは2013年、グーグル・ベンチャーズから2億5800万ドルという巨額の資金調達を行い、グーグルの最高法務責任者ディビッド・ドラモンド氏を取締役に迎えた。しかし、ここ最近の2年間で両社の関係は急速に冷え込み、送迎やドライブマップの分野で競合関係になりつつある。

2月にブルームバーグは「グーグルが自前の送迎サービス事業を開発し、ウーバーに対抗しようとしている」と報道。その後、ウーバーはノキアの手掛ける地図サービス「HERE(ヒア)」に買収を提案したと報道され、これが実現すれば、現状ではグーグルマップに依存するウーバーも独自の地図ソフトを入手し事業展開を有利に進めることができる。

文=エレン・ユエ(Forbes)/ 編集=上田裕資

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