乗用車市場ではEV(電気自動車)のシェアが拡大中だが、今後は物流トラックや建設車両、鉱山用重機などの大型商用車や、電車、船舶、航空機のEV化が進むと予想されている。リネバルガーによると、現状では軽量自動車と大型車両では異なる電動パワートレインが必要だという。
「気候変動は危機的問題であり、バッテリーの方が燃料電池より優れているといった議論は不毛だ」とリネバルガーはグラスゴーで述べた。
今やEVの代名詞となったテスラのイーロン・マスクCEOは、バッテリーに比べて水素燃料は効率が悪く、水素と酸素から電池を作る燃料電池スタックは高コストだとして、水素の利用を強く批判している。しかし、長距離を走行するトラックや商用車のメーカーは、重量が数トンあり、充電時間が長いリチウムイオン電池が最適なソリューションだとは考えていない。マスクは、スペースXのロケットにはバッテリーでなく、灯油と液体酸素を利用しているが、これは温暖化の原因となる黒い炭素粒を排出する。
COP26の主要テーマは、脱石炭だった。共同宣言の草案では、化石燃料への補助金の段階的廃止が盛り込まれ、歴史的な突破口になると思われたが、石油会社やガス会社が補助金の維持を求めたため、2回目の草案では表現が弱められた。
バッテリーが電気を蓄えるのとは異なり、燃料電池は水素と酸素の化学反応によって必要な電気を発電し、副産物として生成されるのは水のみだ。インディアナ州コロンバスに本拠を置くカミンズ以外にも、トヨタや日野自動車、現代自動車、ボルボ、ダイムラー、ニコラ、ゼネラルモーターズ、ナビスターなどが大型車両に水素燃料電池を搭載しようとしている。