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カナダ・アルバータ大学のリチャード・ビーソン教授は最新の研究で、日本政府が1955〜90年に採った産業政策は貿易政策や経済政策としては成功しなかったと結論づけた。「戦後の日本の経済的成果や、自動車や電機など主要部門の国際的業績は産業政策によってもたらされたものではなかった」としている。

ビーソンは日本経済政策研究の第一人者で、日本に関する著作もある。このほど米シンクタンクの米国政策財団(NFAP)で発表した論文で、「日本で産業政策が活用された1955年から1990年にかけて、日本経済の中で成長が速い、あるいは技術的に進んだ分野の生産性成長率を産業政策が向上させた証拠はなく、今日、産業政策がほかの国でも有効なのか疑問を生じさせる」と指摘した。

研究では、この時期の日本の産業政策は部門別の成長率を引き上げることもなければ、スケールメリット(規模の経済)を通じて効率性を高めることもなく、生産性成長率の向上や「競争力」の強化にもつながっていなかったことがわかったという。ただ、うまくいく産業政策を策定するのが難しいのは日本に限った話ではないともビーソンは指摘している。

日本の産業政策がうまくいかなかった理由については、2通りの説明ができるという。1つめは、現実には政治プロセスによってこうした政策が実効的なものでなくなってしまうというもの。政治が介在すると、支持基盤となる地域や業界に資金を振り向けようとする圧力がつねにかかることになるためだ。

2つめは、企業や起業家が市場規律と向かい合わなくてはならないのに対して、政策立案者は最善の結果を生み出すような資源配分の知識を持ち合わせていないというものだ。

ビーソンによると、この時期の日本の産業政策は急速に成長している部門を優遇したわけではなく、逆にほとんど成長していない業界を手厚く支援していた。研究では、日本政府が用いた(1)業界への助成を含む政府融資(2)補助金(3)関税による保護(4)減税措置という4つの措置を分析した。

各国の政策立案者は、市場の力にゆだねるよりも政府の計画があったほうが国の経済は良くなると確信しており、実際、現在の中国や欧州、米国の政府はいずれも産業政策を支持している。こうした現状と今回の研究成果を考え合わせれば、それぞれの世代が過去の教訓を学び直すことが求められている、ということになりそうだ。

編集=江戸伸禎

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