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I am a former university president who writes about higher education.

Photo by Scott Heins/Getty Images

米百貨店のメイシーズは8日、米国で働く固定給・時間給の従業員を対象に、大学などの授業料や書籍代を全額負担すると発表した。労働市場が逼迫するなか、人材の呼び込みや引き留めをはかる狙いだ。米国の大手企業の間では従業員の学費を支援する動きが広がっている。

メイシーズが学費を負担するコースには、高校の卒業資格と2年制大学の卒業資格を得られるハイスクール・コンプリーション、大学進学準備、英語学習、準学士・学士、ブートキャンプ、認定資格などが含まれる。

実施にあたっては、スキルアップや従業員教育支援プログラムの管理・運営で米大手のギルド・エデュケーションと提携する。経費は向こう4年間でおよそ3500万ドル(約40億円)を見込む。

メイシーズはあわせて、来年5月までに最低賃金を時給15ドル(約1700円)に引き上げることも明らかにした。これにより、平均基本給は時給17ドル(約1900円)超になるという。このほか、従業員に有給休暇を追加で与える方針も示した。

メイシーズのダニエル・カーガン最高トランスフォーメーション・人事責任者は「このプログラムによって、教育を受けにくくしている大きな障害が取り払われます。同僚たちがスキルをさらに磨き、キャリアや稼ぐ力を高めることに役立つでしょう」と述べている。

米国の企業ではこれまでに、ターゲットやウォルマート、チポトレ、タコベル、スターバックス、ディズニーなども同様のプログラムを発表している。

多くの大手企業は長年、何らかの教育支援プログラムを従業員に提供してきたが、その利用率は全体的に低かった。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が起きると、一部の企業アナリストからは、こうした教育関連の福利厚生はコストカットのため削られるだろうとの見方も出ていた。

だが、その懸念は杞憂だったようだ。逆にここへきて、教育支援を導入したり拡充したりする企業が増えている。企業教育支援の別の大手であるインストライドは、パンデミック以降、クライアント企業と教育提供企業のどちらのパートナーも増え、大きな成長を遂げている。

メイシーズの動きは、米経済の回復が続くなかで労働者の奪い合いが激しくなっている現状を映したものでもある。多くの企業が人材の獲得やつなぎ留めに躍起になっており、米労働省によると今年4月の非農業部門求人数は約930万件と過去最高に達している。

編集=江戸伸禎

メイシーズ

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