部下から突然、「他にやりたいことが見つかって」と言われないために

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個人個人が意思を持ち、やりたいことを求めていく時代において、会社やリーダーはその意思を理解し、キャリア構築を支援し、会社のミッションと掛け合わせていくことにより多くの時間を割くことが求められる。そして、そのマッチングサイクルをまわしながら事業を成長させていくには、強い人材獲得力と人材開発力が必要になってくる。

突然、部下から「別にやりたいことが見つかったんですよね」と言われたらどうするだろうか?

その人がキャリアに意思を持ち、志を持って前に進めるというというこの状況を手放しに喜び、応援できる上司はまだ少数派かもしれない。まず頭に浮かぶのは、どうやってこの穴を埋めよう、なんとか引き止められないだろうか、せっかくここまで育ててあげたのに……と、現実の壁と感情が入り交じったものではないだろうか。

米スタートアップが採用担当を重視する理由


これは、会社として人の流動性を理解し、不確実性を吸収できるクッションをもって運営される構造になっていないからである。GAFAやアメリカのスタートアップ企業は、社員の5番目、遅くとも10番目に採用担当を入れるが、それはこのためだ。

つまり、成長に応じて人が必要になってくるからだけではなく、人が抜けていくことも自然な流れであることが理解されているため、誰かが辞めてもすぐに代わりが入社する強い人材獲得力を備え、組織に新しい風をもたらすメリットを享受できるという構造になっているのだ。

そうしたベースのもとで、人に投資をし、キャリアカンバセーションを通して、個人のやりたいこと会社のマッチングを組織やリーダーが開拓していく。すると「サプライズ退職」や思わぬモチベーションの低下などがコントロールできていくのである。

こうした企業において、採用チームは、自社に応募したい人を集めるだけではなく、自社が必要な人材をいかに獲得しにいくかという新しい筋肉が求められるし、育成チームは全員共通研修の準備よりも、1人1人のリーダーや個人との積極的な対話から、状況や戦略に応じた支援を用意する必要が出てくる。

もちろんこれは採用チームや育成チームだけではなく、すべてのリーダーが求められていることである。

では、リーダーは一人一人のキャリア支援のために何ができるだろうか? 
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文=西野雄介

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