今回の同社のシリーズBラウンドは、東京証券取引所に上場するスパークス・グループの主導によるもので、台湾のCDIB Capital Groupやシンガポールの投資会社GK Goh Holdings、タイの石油精製メーカーThai Oilの投資部門であるTOP Venturesらが参加した。
UnaBizは、8月にフォーブスアジアが立ち上げた、アジアの注目スタートアップリスト「Forbes Asia 100 To Watch」の第1回に選出されていた。
UnaBizの共同創業者でCTOのフィリップ・チウによると創業5年の同社は、今回の調達資金により、アジアやヨーロッパ、中東、アフリカ地域での事業を拡大し、特に高齢化と人口減少によってオートメーション化が重要になっている日本市場での拡大を目指している。
さらに、テクノロジー分野への投資にも注力する予定で、特にヨーロッパの企業の技術に期待しているとチウは述べている。
UnaBizが提供するサービスの一つが、UnaConnectデータプラットフォームで、これは、工場などのIoTセンサーが収集したデータを、顧客がすぐに把握できる情報に変換するサービスだ。
IDCでアジア太平洋地域のIoT部門のリーダーを務めるHugh Ujhazyは、パンデミックを受けて、人手をかけずにオペレーションを維持したい顧客の需要が急増したと述べている。「人の動きが制限された環境下でも、企業はIoTセンシングによって、定期的メンテナンスを効率化し、支出を抑えられる」とUjhazyは述べている。
70名の従業員を抱えるUnaBizは、日本最大のリモートガス検針インフラや、オーストラリアおよびニュージーランド最大のビール樽の自動追跡システム、シンガポールの高等教育機関で大々的に実施された施設管理プロジェクトなどにIoTサービスを提供してきた。
UnaBizは、IoTの導入コストを抑えるためのソフトウェアパッケージで認知度を高め、2018年のシリーズAで1000万ドル以上を調達していた。チウによると、同社のIoTソリューションの1デバイスあたりの年間平均コストは0.5ドル程度で、水道やガスの検針や製造施設のメンテナンスなどに利用されている。
カウンターポイントのアナリストのアニッシュ・カジュリアは、「UnaBizは、IoTの大規模な導入向けの、安価で効果的なセンサーを提供することで知られている」と述べている。
急拡大するIoT市場
企業はこれまで、コストを理由に機器や自動車、製造設備へのIoTの導入を躊躇してきたが、今では複数のネットワーク上でUnaBizのソリューションを活用しているとチウは指摘した。
「スマート・シングスの時代への移行が進む中で、IoTは多くの人々の生活のクオリティを向上させ、企業のコストを削減する。今は、この分野に投資を行う適切な時期だ」と、カジュリアは述べている。
カウンターポイントは、投資家の資金が流れ込むことで、IoTの収益が2030年までに合計1.4兆ドルに到達すると予測している。IDCも、2028年までにアジア太平洋地域だけで310億台のIoTデバイスが導入されると試算している。