「長期コロナ」患者、実際は3%程度か ほかの病気と混同の可能性

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新型コロナウイルスに感染後、症状が数週間から数カ月にわたって続くいわゆる「長期コロナ感染症(Long Covid)」を患う人は、これまで懸念されていたよりもずっと少ないことが、英国家統計局(ONS)の調査で明らかになった。長期コロナはそれとはっきりわかる症状がないため、有症率が過大評価されている可能性があるという。

ONSが9月16日に公表した報告書によると、新型コロナウイルス感染者のうち最初の感染から3カ月後も症状が続いている人は約3%だった。今年4月にはその割合は14%と推定されていた。

長期コロナ患者の割合は、評価する期間によって大きく変わるとONSの調査官らは指摘している。感染から最長で16週間後までコロナの症状がみられたと答えた人は5%にとどまるが、長期コロナを患っていると答えた人になると12%に跳ね上がるという。

しかし今回の調査では、通常の体調不良が長期コロナによるものと誤解され、その結果、長期コロナが実態以上に広がっているように見えている可能性があることがわかった。長期コロナの症状には発熱、筋肉痛、倦怠感、下痢、せきといったものがある。

対照群(新型コロナにかかっていない人たち)でも、長期コロナに似た症状が続いていると答えた人は約0.5%、16週間後も何らかの症状があったと答えた人は3.4%いた。

今回の調査結果は、世界の子ども約1万9000人を対象とした調査研究の結果とも合致する。小児感染症ジャーナル誌に発表された調査結果によると、子どもの場合もこうした症状がみられる割合は新型コロナウイルスの感染者と非感染者でほぼ同じだった。ちなみにこの研究では、子どもの場合、症状が12週以上続くことはめったにないことも明らかになっている。

長期コロナについてはまだわかっていないことが多く、一部の感染者がそうなる理由も不明だ。研究者らによると、分析や確認のための一貫した枠組みがないことが問題を複雑にしているという。ただ、これまでの研究から、ワクチンの接種は罹患リスクの低下とブレークスルー感染の予防を通じて長期コロナの発症リスクも下げることが確認されている。

新型コロナウイルス感染者の3%が長期コロナ患者になると仮定した場合、米国では長期コロナを患っている人が123万人程度いると推定される。

編集=江戸伸禎

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