そうした中、テキサス州ダラスに住む米国人がナイジェリアから帰国後、サル痘ウイルスが引き起こす急性発疹性疾患で入院したことが明らかになった。米国内では2003年以来、初の感染確認となる。
米疾病対策センター(CDC)と地元保健当局が7月16日に明らかにしたところによると、この患者は8日にナイジェリアのラゴスを出発する旅客機に搭乗。ジョージア州アトランタ経由で翌9日にダラスに到着した。
サル痘は、中央~西アフリカで感染が確認されている感染症で、重症化することもある。インフルエンザに似た症状とリンパ節の腫れ、水痘(水ぼうそう)のような発疹が特徴だ。
最も一般的な感染経路は、粒子の大きい呼吸器飛沫を吸い込むことだが、CDCはダラスで入院中のこの患者について、帰国までの移動中に接触したその他の人を感染させた可能性は低いとの見方を示している。新型コロナウイルスの流行が続く現在、機内や空港ではマスク着用が求められていたためだという。
ダラス郡もまた、今のところ市民が脅威にさらされていることを示す兆候はないと発表している。
米国では過去に約50人が感染
サル痘の起源は不明。げっ歯類、サルなどの小型哺乳類が保有しており、ヒトにはこれらの動物に引っかかれたり、かまれたりすること、またはこれらを食用にすることなどで感染するとされている。
CDCによると、ナイジェリアでは2017年以降、それまで40年近く確認されていなかったこのウイルスへの感染者が報告された。米国では2003年、複数の州に住む合計47人が感染したことが確認されており、アフリカ以外の地域では初めて、ヒトへの感染が拡大した。死亡例は報告されていない。
このときはガーナから輸入された複数の種類の小型哺乳類とげっ歯類のいずれかから、ペット用として業者が飼育していたプレーリードッグが感染。その後、このプレーリードッグが販売されたことがきっかけとなり、感染が広がったことが分かっている。