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2021.07.20 07:00

ネットフリックスのゲーム事業進出が「鬼門」になり得る理由

Getty Images

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ネットフリックスは7月14日、ビデオゲーム分野に進出する計画を明らかにした。このニュースは世間では概ね好意的に受け止められたものの、ハリウッドの映画スタジオは、これまで幾度もゲーム業界に攻め込もうとしたが、ほぼすべて失敗に終わっている。

ディズニーは、この分野への進出に3回失敗した後、2016年にインタラクティブ部門を閉鎖した。NBCユニバーサルも、ゲームパブリッシング事業の立ち上げから3年後の2019年にその部門を閉鎖した。

バイアコムやパラマウント・ピクチャーズ、CBSの買収を通じて一大メディア帝国を築いた故サムナー・レッドストーンも、巨額の資金をゲームに注いだが、成功を収めることは出来なかった。この分野で唯一、成功した映画会社は「ハリー・ポッター」「モータル・コンバット」「レゴ・ムービー」などをヒットさせたワーナー・ブラザースのみだ。

ネットフリックスは、そのような不名誉な歴史を塗り替えられると考えており、フェイスブックの元バイスプレジデントで、エレクトロニック・アーツ(EA)元幹部のマイク・バーデュをゲーム開発担当のバイスプレジデントとして採用した。

同社は、ゲーム事業への参入で、加入者に新たなエンタテインメントの選択肢を提供し、競合と差別化を図ろうとしている。

ネットフリックスは、米国内の会員の増加ペースが鈍化する中、「ストレンジャー・シングス」などのヒット作品のマーチャンダイズに進出するなど、収益源の多角化に乗り出している。

調査企業のNewzooは、コンピュータやコンソール、スマートフォンのゲームが今年、全世界で1758億ドル(約19兆円)の売上を記録すると予測している。ネットフリックスは、今年初めの投資家との電話会談で、インタラクティブゲームへの進出を予告していた。

「ゲームが重要なエンターテイメントの形態であることは間違いない。私たちはこの分野で学びながら成長していく」と、ネットフリックスのチーフプロダクトオフィサーのグレッグ・ピーターズは述べている。

相乗効果を生むことの難しさ


ネットフリックスは、2018年の「ブラックミラー」のインタラクティブなストーリーテリングの実験で、広く注目を集めていた。また、今年初めには、Vox Mediaと共同で、瞑想やリラクゼーションのためのインタラクティブなガイド「Headspace Unwind Your Mind」を制作した。

このような取り組みを通じて、ネットフリックスはインタラクティブなストーリーテリングの可能性を探ろうとしている。しかし、同社は、まだ始まったばかりのこの取り組みについて多くを語っておらず、映画やドラマなどのコンテンツと同様に、自社のゲームだけでなく、他社のゲームも配信するプラットフォームになるかどうかも不明だ。

しかし、一つだけ言えるのは、ネットフリックスのゲーム事業の成功が確実ではないことだ。

ゲーム業界のアナリストのマイケル・パクターは、ネットフリックスが参入するのは、すでに混み合った市場であり、毎年4万本のモバイルゲームが制作されているが映画やテレビにうまく変換できるものはごくわずかであり、その逆も同様だと述べている。

「ネットフリックスは、まずモバイル向けのゲームをリリースするはずだ。もし、テレビでゲームを配信するのであれば、何らかのゲームコントローラーを開発する必要がある」と、パクターは指摘する。

「ネットフリックスは優秀なコーチを雇ったが、彼らには選手がいない」とパクターは話した。

編集=上田裕資

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