ソフィアが、デジタル資産であるNFT(非代替性トークン)を用いて制作したデジタルアート作品が68万8888ドル(約7500万円)で落札された。これは、NFTアートの世界でごく最近起きた、常識を覆す予兆だとされている。
NFTとは、ブロックチェーンと呼ばれるデジタル台帳上に設定されたデジタル資産のことで、作品の真正性や所有者情報を確認することができる。ソフィアが手掛けたNFTアートの作品がおよそ70万ドルで落札されたように、NFTは最新の投資対象として注目を集めている。
2016年に初めてお披露目されたソフィアは、色鮮やかな肖像画で知られる31歳のイタリア人デジタルアーティスト、アンドレア・ボナセト氏と作品を共同制作した。大富豪のイーロン・マスク氏のような有名人の肖像画を手掛けたこともある。
ボナセト氏の作品にソフィアが実際に描いた絵の要素を組み合わせ、ふたりが「進化への反復ループ」と呼ぶプロセスを通じて作品の表面を加工し、完成させた。
Humanoid robot Sophia to auction its own NFT artwork in a world first
作品名は「ソフィア・インスタンシエーション」。これは13秒のMP4ファイルによるデジタル作品で、ボナセト氏が描いた肖像画がソフィアによるデジタルアートへと変化する様子を鑑賞できる。ソフィアが制作した自画像に絵を重ね合わせた作品もセットになっている。この作品は破格値で落札されたが、買い取った人物が誰なのかはわかっていない。ソフィアの生みの親である香港のハンソン・ロボティクスは、入札のペースに驚かされた。
銀色の衣服に身を包んだソフィアは、ロイター通信の取材に対し「ロボット工学のような新しい技術に対する人々の反応に、とてもわくわくしています。また、このようなクリエイティブな活動に参加できて、とても嬉しいです」と語った。
NFT領域の今後は?
ブロックチェーン投資会社のCEOで美術品収集家でもあるジェハン・チュー氏によると、今後はデジタル商品に莫大な資金が投じられるだろうという。依然としてバブルさながらの雰囲気が漂う領域だが、チュー氏は先行きは明るいだろうと予測している。
「今、特にNFTアートの世界ではちょっとしたバブルが起きているようです」と、チュー氏はロイター通信の取材に対して語る。「結局のところ、デジタル商品に思いをめぐらせているのはどのような社会であり消費者なのかという点が、大きく変わってきているのは確かです」。さらにチュー氏は、「今後、こうした動きによって我々が到達する地点には大いなる驚きが待っているのです」と続けた。
(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものです)