中古車EV バッテリー・ヘルス事情、ソフトウェアによる「見せかけ」に注意

テスラの電気自動車が充電している様子(カリフォルニア)(Getty Images)

お目当ての車が決まっていて、ダメな車を見分ける目も持っているなら、中古車市場は自動車の購入費用を大幅に節約できる素晴らしい場所だ。しかし、お買い得の電気自動車(EV)を見つけることは、ガソリン車と比べれば格段に難しい。実のところ中古の電気自動車には、ひとつ重大な問題があるからだ。

バッテリー・ヘルスを確認する手法は“ほぼなし”


自力ではなかなか突き止められない問題、それは、中古車のバッテリー・ヘルスだ。テスラもシボレーのEVボルトも、この問題からは逃れられない。

一部の中古車ディーラーは、ソフトウェアを使ったテクニックで、劣化しきったバッテリーを健全に見せかけることがある。電気自動車を買う人はリセールバリュー(再販価値)の高さも気にするもの。したがって、メーカー側にとってもバッテリー・ヘルスの維持は重要な課題だ。

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同じ車を永遠に乗り続ける人はいない。それに、たいていの人は新車購入を検討する前に、質の良いお買い得の中古車がないか探すものだ。中古車市場は自動車産業の大切な一部でもあるので、中古電気自動車のバッテリーの状態を確認する適切な手法が存在するべきだ。

実際のところ、バッテリーの持ちの良さを示すデータはめったに公表されていない。テスラは、モデルSとモデルXのバッテリーは20万マイル(約32万キロ)走行した後でも充電能力が80%残っていると主張している。

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情報開示は日産リーフのみ。最低限必要な充電能力は?


残念ながら、消費者にバッテリー・ヘルス情報を開示しているEVメーカーは多くない。報道によると、米国でバッテリー・ヘルスの数値を示している電気自動車は日産リーフのみ。ただし、リーフにはテスラのようなバッテリー温度管理機能がないので、リーフのバッテリーのほうが早く劣化する。

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この問題には規制当局が介入し、消費者にとってバッテリー・ヘルス情報の確認が容易になるようメーカー側に圧力をかける可能性も考えられる。情報が入手しやすくなり、不正を防止できるようになるのが理想的だ。カリフォルニア州大気資源局は、電気自動車のバッテリーは15年間、もしくは15万キロ走行後にも、最低80%の充電能力が残っているべきだという見解を示している。

中古のテスラを買おうと思っている読者は、ぜひこの記事を参考にしてほしい。

(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものです)

翻訳=上原裕美子 編集=石井節子

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