近年のビジネスで同社は「三人の伴侶を得た」という。その「三人」とは、アマゾンマーケットプレイス、アマゾンプライム、そしてクラウドコンピューティングサービスの「アマゾンウェブサービス(AWS)」だ。
AWSについて、ベゾスは書簡の中で次のように書いている。
「9年前の立ち上げ当初は、過激とも言えるアイデアだったが、急速な成長を遂げた。クラウド型のストレージやコンピュータリソースは、ベンチャー企業の事業スピードを飛躍的に向上させた。PinterestやDropbox、Airbnbなどは皆AWSを利用し、重要な顧客となった」
さらにベゾスは同社のマーケットプレイスの成果についても強調している。同事業は特に米国外で急成長を遂げ、昨年20億ドルを投じたインド市場への取組みについて次のように述べている。
「急成長するインド事業の中心がマーケットプレイスだ。アマゾンがインドで販売している商品の全ては、サードパーティーの販売者が供給している。現在、21,000以上のセラーが2千万点以上の商品を販売し、インドのどのECサイトよりも品揃えが豊富だ」
ベゾスは自社の失敗についてはほとんど触れず、大失敗に終わったスマートフォン「Fire Phone」に関する記述は皆無だった。
一方で、大幅に行数を割いて強調したのが、同社のオリジナル・ドラマ『トランスペアレント(Transparent)』のゴールデングローブ賞受賞についてだ。
「クオリティの高いドラマをつくり、アマゾンで先行配信したことが業績のアップにつながった」とベゾスは言う。
「オリジナル番組の制作は、配信経費を固定化できる点も気に入っている。ゴールデングローブ賞を獲得することで、電動工具や赤ちゃんのおむつの売上が伸び、利益を生む構造を作ったのは、間違いなくアマゾンが最初だろう」とベゾスは自信たっぷりに述べている。
年次書簡が公表された翌日の金曜日、アマゾンの株価は約15ドル上昇した。これにより、ベゾスの資産は50億ドル増えて405億ドルとなり、世界で9番目の富豪になった。