プライバシー・インターナショナル(PI)や、Noybなどのプライバシー保護団体は、フランス、オーストリア、イタリア、ギリシャ、英国のデータ保護規制当局に、同社が個人データを違法に使用しているとの訴えを提出した。
Clearview AIは、ウェブサイトやSNS上の画像を、本人の同意を得ずに収集して巨大なデータベースを構築し、各国の法執行機関などに顔認識ツールとして販売している。
欧州のプライバシー活動家、マックス・シュレムスが率いる個人情報保護団体Noybは、その行為が「不誠実」かつ「極めて侵入的」であり、人々の自由に対する重大な脅威だと述べた。
「画像データから顔の特徴を抽出し、警察や他の企業と共有することは、オンラインユーザーとして期待できる範囲をはるかに超えている」と、PIの法務担当者は指摘した。
PIは、各国のデータ保護規制当局が力を合わせて、「Clearviewの行為はヨーロッパでは通用しないという判決を下す」ことを期待している。Clearviewの業務がGDPRに準拠していないと判断された場合、同社は全世界の年間売上の4%の罰金支払いに直面し、欧州での業務の大幅な縮小を求められる。
「顔の画像がオンラインで一般公開されているからといって、他人が好きなように利用してよい訳ではない」と、Noybの弁護士は述べた。
Clearviewの存在は、2020年1月のニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道によって広く知られるようになった。
Clearviewは、オーストラリアの起業家ホアン・トンタットと、ニューヨーク市長時代のルドルフ・ジュリアーニの顧問だったリチャード・シュワルツが設立した企業で、ピーター・ティールの支援も受けている。同社はNYTの報道以降、世間からの強い非難を受けて、民間企業との取引を停止したが、米国内で約2000の公的機関(その多くは法執行機関)が同社の顔認識テクノロジーを利用しており、新規の導入件数も急増中とされる。
Clearviewの法執行機関への友好的アプローチは、大手ハイテク企業の多くが、同様のテクノロジーの政府機関への販売を中止したのとは対照的だ。同社は、公開されている情報には憲法修正1条の「表現の自由」が適用されると述べ、自社の慣行を繰り返し擁護している。