UiPathはロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の世界的なリーディングカンパニーで、世界のRPA市場のおよそ3分の1というシェアを獲得しています。
SECに提出されたフォームS1によると、同社は全収益のうち14%を日本で上げているそうです。つまり、日本のRPA市場でおそらく約85億円ものARR(年間経常収益)を得ていることになります。日本に進出しはじめたのが2017年頃であったことを考えると、とんでもない業績です。
さらに最近では「デジタル・トランスフォーメーション」が日本の経営陣やメディアの間でバズワードになるといった追い風もあり、同社の伸び代には今後も大いに期待できると考えられるでしょう。
今回のIPOはSpotifyをも超える結果となり、欧州のスタートアップ・エコシステムにとってまたもや過去最高を更新するホームラン級IPOとなりました。
また、UiPathとSpotifyの上場にはある共通した特徴があります。どちらも米国からの「観光客」的な投資家、つまり従来は欧州をターゲットにしていなかった米国の投資ファームがキャップテーブル(資本政策表)に名を連ねているのです。
フォームS1を見てみても、同社の大株主は上からAccelが28.8%、EarlyBird Managementが11.4%、そしてCapitalGが8.3%と、上位3社のうち2社が米国のファームです。ちなみに彼らと比べるとかなり少ない投資比率ですが、SequoiaやKleiner Perkinsも同社に投資しています。
以前は、シリコンバレー以外に投資する米国ファームはほとんどなく、レアな存在でした。
そのため、スウェーデン発のスタートアップというだけであまり知られていなかったSpotifyにFounders Fundが投資したときも、同ファームの逆張り投資家としてのブランドに沿うものでした。
しかし、近年は欧州に対する逆張り的なイメージもかなり薄まり、米国からの海外投資家が「観光客」どころか、本格的な「移住者」として欧州のスタートアップ市場に参入しはじめています。